小林愛実 ピアノ・リサイタルに行ってきました。

ホールは、よこすか芸術劇場でした。

 

日曜日の午後、ホールはほぼ満席、盛況でした。

 

そんな中、プログラムは王道の

 

シューベルト 4つの即興曲

モーツァルト 幻想曲 K.397

シューマン  子供の情景

ショパン   アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ

 

これでアンコールがリストなら主要なピアノ曲の作家曲か網羅だなと思いましたが、オーソドックスにショパン、プレリュード17番と幻想即興曲でした。

 

小林愛実さんを聴くのはどこかのオケとのコンチェルトを聴いて以来10年振りぐらいです。

曲目も覚えていないぐらいですから演奏もきちんとは覚えていません。

事実上今日が初めて聴くみたいなものでした。

 

演奏は、品がありとても綺麗な音で柔らかさもありながら、歯切れ良く、粒だった音がコロコロと鈴なりに連なる、心が弾むピアノでした。

 

まずは、シューベルトの即興曲集。

メリハリがあって、華やかさと静けさを兼ね備えた、勢いのある演奏でした。

 

休憩を挟んで、モーツァルト。

出だしは「えっ、これがモーツァルト?」と思いましたが、中間部は如何にもモーツァルトらしい、優しく流れるような心地よいメロディー、単に覚えてないだけかもしれませんがたぶん初めて聴いたと思います。

 

「子供の情景」、全曲を通して聴くの、いつ以来か記憶にありません。

各曲をテーマに応じてそれぞれの色付けを明確にしながら弾き分けて意図の明確な演奏でした。

トロイメライも、テヌートを多用せず、はっきりとした音ながらもしっとりと心の奥深くに染み入りました。

誰もが知っているピースを含む曲集を聴いていつも思うことですが、「子供の情景」もどの曲もそれぞれに聴きどころがあり素晴らしい曲なのにどうして「トロイメライ」だけがこんなに有名なんだろうと不思議に思います。

 

プログラム最後の曲とアンコールの2曲はショパン、コンクール4位の面目躍如でした。

「幻想即興曲」はリズミカルな歯切れの良さと趣の深さと、明暗のくっきりした、とても素晴らしい演奏でした。

 

豊かな才能がほとばしり、清々しく気持ちが晴れ晴れとする日曜日の午後でした。