沼尻竜典指揮、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってきました。
ホールは、みなとみらいホールでした。
プログラムは
グリーグ ピアノ協奏曲(ソロ ニュウニュウ)
マーラー 交響曲第7番「夜の歌」
アンコールはありませんでした。
昨夜はオペラシティで同じプログラムで東京公演、その所為なのか客席には空席が目立ちました。
今まで神奈川フィルを聴いてきた中でも屈指のレベルのコンサートでした。
マーラーオタクなので7番も、ベルティーニ、インバル、神奈川フィルでも金聖響で、数えたことはありませんが生で聴いた回数は両手じゃ足りないと思います。
そんな中でも「今日の7番が一番?」と思うぐらい素晴らしい演奏でした。
7番のスコアはとりとめのない、とっ散らかった曲だけに、向き合い方はいろいろで、多様なアプローチがあると思います。
とりとめのないスコアをどうまとめてゆくのか、とりとめのないまま、まとめることなくスコアのままに演奏するのか、指揮者によって大きく違うんだと思います。
沼尻さんは、スコアのままに、なのに、破綻なく、一曲として、破綻と調和がギリギリのラインで成立し共存させた、一般人じゃ立つことすら困難な平均台の上を確固たる足取りで上手に歩いているような演奏でした。
応えるオケも素晴らしかったと思います。
第一楽章が終わったところで数人から拍手が興りましたが気持ちはとっても良くわかりました。
特に目立ったのはHrの坂東さん、第2楽章のソロも、第4楽章のソロも、完ぺきだったと思います。
ソロとしてだけではなく、Hrパートの首席としてパートのまとまりも、素晴らしい演奏でした。
Clの斎藤さんも八面六臂の大活躍、Trpの林さん、Timpの篠崎さんも印象的でした。
もちろん、江川さんも古山さんも、管楽器群のレベルの高い、四隅はきっちりそろいながらも柔らかさを保ったまとまりは、他のオケにはない素晴らしい持ち味だと思います。
何度目かのカーテンコールで、ソロを弾いた弦楽器のTopを順番に一人ずつ立たせていました。
最初にコンマスの大江さん、Vcの藤森さん、Vaの大島さん、そしてくるりと振り向いて2ndVnの直江さんを立たせようとしたら「イエイエわたしは・・」といった雰囲気で手を左右に振って立ちません、もう一度促しましたがもう一度「イエイエ」。
諦めた沼尻さんがオケ全員を立たせましたが、謙虚にはにかむ直江さんがとても可愛らしく印象的でした。
グリーグのピアノコンチェルト、申し分のない演奏でしたが後半の7番に圧倒されて記憶が定かじゃありません。
唯一覚えているのは、HrnのTopに座った國井が素晴らしかったことです。
後半Topに座った坂東さんに引けを取らない演奏だったっともいます。
今日は豊田さんは下り番でしたが、Hrn奏者不足に苦しむ各オケにとって神奈川フィルの布陣は垂涎の陣容だと思います。
プレトークに登場した沼尻さん、小澤さんの副指揮者を務めた頃の思い出話を聞かせてくれましたが、ユーモアたっぷりに、小澤さんのお人柄を、ジメジメすることなく、面白おかしく話して下さいました。
マーラーの交響曲の中でも捉えどころのない7番を斯くも完璧に聴かせてくれた沼尻さんと神奈川フィル、目が離せません。
3月は他のコンサートバッティングしたので次は4月、ブルックナーも楽しみです。