クシシュトフ・ウルバンスキ指揮、東京交響楽団のコンサートに行ってきました。
ホールは、ミューザ川崎でした。
「シン・新世界から」をお聞かせします、という事前のふれこみ通りのコンサートでした。
プログラムは
メンデルスゾーン 劇付随音楽「真夏の夜の夢」序曲
ショパン ピアノ協奏曲第2番(ソロ ヤン・リシエツキ)
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」
アンコールは、ピアノソロでノクターンの21番でした。
ホールは、ほぼ満員。
とても良く入っていました。
昨夜の明治座での歌舞伎公演は半分も入っていなかったのでいつも以上に「凄い!」と。
そして、演奏はそれ以上に凄かったです。
東響のコンサートでは2階Lサイドの席を購入します。
理由は簡単、Va首席の西村眞紀さんのFanだからです。(笑)
今日のチケット、購入したのが今月に入ってからだったのでLAブロック、Vaは正面だから問題ないのですが管楽器群はほぼ横顔でした。
FlTopに見慣れぬ女性が座っています。
「誰だろう?」と目を凝らしたら、竹山愛さんに見えます。
15日、シティフィルのコンサートに行った時、プログラムの退団者に「竹山愛」とあり、ガッカリしてしまいました。
長く避けてきたシティフィルを聴く気になった最大の要因は「竹山愛さんが在籍してる」だったのに・・・。
休憩時間、1階でスーツ姿の男性に「楽団の方ですか?」と話しかけたら「楽団長の廣岡です。」
「えっ、アシスタント・コンサートマスターの廣岡さん?」顔を見るとまさに廣岡さんです。
聞けば昨年秋に演奏家を辞して楽団長に就任したとのこと。
「Topサイドにいらっしゃるのをいつも拝見していました。」とまずはご挨拶して「ところでFlTopは竹山さんですか?」と聞いたら「はい。今月入団しました。まだ試用期間ですが」と。
シティフィルを退団してガッカリしていましたが東響に入団となればむしろ聴く機会が多くなります。
15日のガッカリが一転して大喜びに変わりました。
日本を代表するフルーティストに試用期間は違和感を感じましたが「アンサンブルだから」と自分に言い聞かせました。
オケのど真ん中に荒さんと竹山さん美形お二人が並ぶのはとっても良い眺めです。
その後列にヌヴーと福井さんのスキンヘッドが並ぶのもこれまた壮観です。
「真夏の夜の夢」の演奏が始まると、耳が洗われるような新鮮が響き聴こえてきました。
弦を中心に、キビキビと引き締まった、緩急強弱自在の素晴らしい音です。
いつものメンバーから出てくる若々しい音にビックリです。
指揮者が代わればオケが別物になるのは今までも沢山見て来ています。
今も思い出すのがホルスト・シュタインがN響から引き出した、その前月からは想像もつかないくすんだ重低音です。
東響を聴いたのは昨年11月にノットとスダーンででした。
同じ月に別々の指揮者で聴きましたが指揮者のそれぞれに従ってオケは違う音でした。
そして今日また違う音を聴かせてくれました。
リシエツキ、東京・春・音楽祭でやべっちとのブラームスを聴いていら2度目です。
この時のリシエツキの素晴らしい演奏も今日のコンサートに行く気になった理由の一つです。
コンチェルトも素晴らしい演奏でした。
20歳のショパンが書いたコンチェルトと遺作となったノクターン、作曲者の時間の経過を踏まえながら、どちらの曲も染み入るような、しっとりと落ち着きのある、心に響くショパンでした。
ウルバンスキはコンチェルトでも暗譜でしたが以前「練習番号まで暗記しているのでリハーサルも暗譜でやる」と聞いたのを思い出しました。
休憩の後「新世界から」。
特に第2楽章が印象に残りました。
ボヘミヤの夕暮れ時のような、情感あふれる演奏が定番ですが、今までの柵と垢をすっかりそぎ落とし、洗い流したような新鮮な解釈です。
オープニングからステージ上にイングリッシュホルン用の席が無いのが気になっていました。
LAブロックだったので、奇を衒ってLAブロックからは死角のホルンの脇にでも座るのかな、と思っていました。
でも聴こえてきたのは頭の上からでした。
まさかイングリッシュホルンがバンダで登場するとは思いもよりませんでした。
第3楽章のベルアップ、初めて見ました。
第4楽章も快適なテンポでうねるように畳み込むように煽る部分が多々ありながら一転して静寂に向かうエンディング。
ウルバンスキのの棒に応えるVaTopの青木さんの奮闘ぶりには目を奪われました。
熱演のあまり椅子から転げ落ちんばかりのコンマスは目にしますが、椅子から転げ落ちそうなVaTopは青木さんだけじゃないかと思います。
僕は、中2の時初めて買ったクラシックのレコードがカラヤンの「新世界から」でした。
とっても思いれのある曲ですが、今日は目からうろこの「新世界から」でした。
「シン・新世界から」のふれこみ、伊達じゃありませんでした。