東京・春・音楽祭2023の「ブラームスの室内楽 Ⅹ」に行ってきました。
ホールは、東京文化会館小ホールでした。
桜の季節、3回目の上野公園での花見でした。
最初は開花宣言の翌日、花が咲いてる木はまだ2~3本、始まったばかりのライトアップも寂しげでした。
2回目は21日、満開一歩手前の真っ盛り、翌日以降週末にかけて「花散らしの雨」の予報もあり凄い人出でした。
そして今日3回目、一部の木を除いてすっかり花も散り春の終わりを告げているようでした。
メンバーは
Vn 矢部達也・水谷晃
Va 川本嘉子・横溝耕一
Vc 向山佳絵子
P ヤン・リシツキ
プログラムはもちろんオールブラームス
弦楽五重奏曲第2番
ピアノ四重奏曲第2番
アンコールは、ピアノ四重奏曲第1番第4楽章でした。
まずは五重奏。
セカンドに水谷さんが座る贅沢な布陣。
2人の掛け合いはまるでTopが2人いるようでした。
そこに妖艶というか、色っぽく川本さんのVaが絡みます。
思わず「にやっ」としてしまいます。
その間に優しく温かく柔軟な向山さんが支えます。
調和のとれた素晴らしいアンサンブルでした。
全体ををまとめていたのは水谷さんだったと思います。
矢部さんは自由に弾いて、水谷さんが向山さんや川本さんと頻繁にアイコンタクトを取っていました。
演奏は矢部さんがまとめ、アンサンブルは水谷さんがまとめ、矢部さんは自由に伸び伸びと、と役割分担を指定のではないかと感じました。
後半は、リシツキのピアノとの四重奏。
三人の生年月日まで知っているわけではありませんが、矢部さん、川本さん、向山さん、ほぼ同じ年だと思います。
矢部さんと川本さんは同時期に桐朋に通っていたのではないかと思います。
とっても息の合ったトリオでした。
三人で演奏していることが楽しくてたまらない、という雰囲気を醸し出していました。
そこに若く力強い演奏のリシツキが加わって、温和な暖かさと緊張感が共存するピアノ四重奏曲の演奏でした。
アンコールの演奏の時、矢部さんに促されてリシツキが曲目を告げたのですが「ブラームス」以外聞き取れませんでした。
1番だろうか3番だろうか、何楽章なんだろう、と思いつつフロントの方に聞いたら1番の第4楽章と教えてくれました。
2番以上に颯爽として溌溂としたアンコールに相応しい演奏でした。
もう一つ印象に残ったのは、ピアノの譜捲りの方がノーマスクだったことです。
客席では大半の方がマスクをしていましたが、ステージ上を見ると「少しずつ日常を取り戻しつつあるなぁ」と感じます。