三ツ橋敬子指揮、東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートに行ってきました。

ホールは、東京芸術劇場でした。

 

都民芸術フェスティバルのコンサートでした。

 

プログラムは、オール・メンデルスゾーン。

 

序曲「美しいメルジーネの物語」

ヴァイオリン協奏曲(ソロ 岡本誠司)

交響曲第4番「イタリア」

 

アンコールは、ヴァイオリンソロで「12の歌曲」から第1番「問い」、オケの弦楽アンサンブルは曲名がわかりませんでした。

 

最初の序曲は、曲の存在自体を知らなかった曲で、もちろん初めて聴きました。

フィンガルの洞窟風、とでも言えばいいのか、しっとりとしたメロディーと畳み込むようなドラマティックなフレーズと、初めてでも違和感を感じない親しみやすい曲でした。

定番のプログラムとして定着しても良い曲だと思います。

 

続いて、初めて聴く、岡本さんのソロ。

最初の音を聴いての感想は「線の細い演奏だな」ですが、決して悪い意味ではありません。

バリバリいう音じゃなく、グイグイと来る演奏じゃない、たっぷりとしたフレージングの繊細な美音です。

だからといって迫力がないわけじゃなく、第3楽章では乱暴さのない、穏やかで上品な推進力で聴かせてくれました。

僕自身は、もう少し力感ある躍動感でグイっと前に出る演奏が好みですが、メンコンには合っていたと思います。

別のコンチェルトでは違った解釈で演奏をするのかもしれませんので1曲聴いただけで判断できませんので別の曲を是非とも聴いてみたいヴァイオリニストでした。

 

休憩は15分。

いつも「インターミッション20分は長すぎる」と思っているので快適でした。

 

演奏も快適でした。

三ツ橋さんの指揮、打点をはっきりと示しながらも、左手をしなやかに使った、勢いの中にも優美さを忘れない演奏でした。

重層的に音を重ねて、個々のパートにはそれぞれに応じた、ボリュームだったり、勢いだったり、補完だったり、パートバランスがとても上手く取れた演奏でした。

誰もが知るメロディーを、だれもが納得する演奏で聴かせるのって、簡単なことじゃありません。

むしろ1曲目の序曲のように聴いたことが無い曲を上手に聴かせる方が楽だと思います。

その難題を苦も無くクリアした演奏でした。

 

以前からの溌溂とした中に、しっとりとした落ち着きが加わった、とても素晴らしい「イタリア」でした。

テンポの良い勢いあるリズム感の中にしなやかさを加えた三ツ橋さん、今後の期待がより一層大きく膨らむコンサートでした。