ようこそ♪ 矢部達哉ミュージックルームへ Vol.1、に行ってきました。

ホールは、アプリコホールでした。

 

新たに始まった「矢部達哉ミュージックルーム」その第1回でした。

出演メンバーは、奥様でソプラノ澤畑恵美さん、ご子息でチェロ矢部優典さん、驚きのご家族勢ぞろい!

加えてピアノに松田華音さんでした。

 

コンサートのチラシを初めて見た時に出演メンバーにビックリ、絶対行こうと決めていました。

 

プログラムは

 

(ヴァイオリンとピアノで)

マスネ      タイスの瞑想曲

クライスラー   クープランの様式によるルイ13世の歌とパヴァーヌ

クライスラー   ベートーヴェンの主題によるロンディーノ

フォーレ     子守歌

(ピアノソロ)

メンデルスゾーン 無言歌第1巻「ヴェネチアの舟歌」

メンデルスゾーン 無言歌第3巻「デュエット」

メンデルスゾーン 無言歌第6巻「春の歌」

(チェロとピアノで)

サン=サーンス  白鳥

ショパン     序奏と華麗なるポロネーズ

(ソプラノとピアノで)

中田喜直     むこうむこう

中田喜直     歌を下さい

ドビュッシー   星の夜

グノー      おいで、芝生は緑

プッチーニ    歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」

メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第1番から第3&4楽章

 

アンコールは、4人でマスカーニの「アヴェ・マリア」、ヴァイオリンとチェロのデュエットでモリコーネの「ニュー・シネマ・パラダイス」、4人にサプライズメンバーを加えて中田章の「早春賦」、でした。

 

先ずは矢部さんが松田さんと登場して「タイスの瞑想曲」。

いつもながら、うっとりと聴き惚れる豊かで美しい響きを聴かせてくれました。

そして、下手にしつらえた丸テーブルに移動してマイクを手にします。

「落ち着かない、妙な気分のこんさーとです」って、そりゃそうだろうと思います。

やおら、続く3曲の解説をして演奏を聴かせてくれました。

 

続いて、引っ込み思案な松田さんのサポートと称して、松田さんの経歴に触れつつ人柄や演奏の紹介をして下さいます。

ここからの矢部さんはヴァイオリニストじゃなくMCに徹していました。

松田さん6歳でロシアに渡って18年滞在してたのは知っていましたが「今でもロシア語の方が話しやすい」にはビックリしました。

昨年のオペラシティのリサイタルでも、チャイコフスキーの「四季」で「季節ごとのロシアの情景が目に浮かび身近に感じられる」と解説していました。

松田さんを好きになったのは「ピアノは打楽器」を体現する打鍵の力強さです。

が、今日はメンデルスゾーンの無言歌、力強いタッチは傍らに置いて、深いタッチで、清らかに澄み切った音が遠くまで響く抒情的な景色を描いてくれました。

素晴らしかったです。

 

演奏が終わると、まず矢部さんが登場、それからご子息と松田さんを呼び入れます。

ご子息とのぎこちない会話のあと、選曲の理由を聞くと「ショパンはピアノが伴奏ではなく主役の曲なので選んだ」とのことでした。

先ずは白鳥。

これが素晴らしい演奏で、度肝を抜かれてビックリでした。

大きな音量で、しっかりとした音で、きりッと引き締まりながらも音に幅と豊かさがあり、線の太い音なのに柔らかみがあり、艶があり、素晴らしいチェリストでした。

室内楽では数回聴いていましたが、粉に素晴らしいチェリストとは認識していませんでした。

是非ソロリサイタルを開いてほしいです。

絶対行きます。

続く松田さんとも素晴らしい掛け合いでした。

チェロとピアノの丁々発止の渡り合い、聴き応えがあり、お見事でした。

 

演奏が終わると矢部MCが登場し、間を持たせようとお母様を呼び込みます。

目に鮮やかなドレスで登場した澤畑さん、ご主人とは度々共演していますから慣れっこでしょうがご子息と同じステージにはいつもと勝手が違う様子でした。

 

休憩を挟んで澤畑さん。

久し振りに聴く歌声でしたが、衰えることない素晴らしいソプラノでした。

「わたしのお父さん」はテクニックで聴かせるとか美声を響かせるのではなく、しっとりと情愛豊かに人間性で聴かせる、グイっと引き込まれる歌声でした。

伴奏の松田さん、しっかりと澤畑さんに寄添って、息の続き具合を感じながらペダリングを調整して、入りも、終わりも、歌を聴くというよりも感じながら弾いていたと思います。

伴奏ピアニストというジャンルの演奏家もいらっしゃいますが、一流のピアニストが伴奏をすると、日頃は自分がソリストだけに、ソリストの気持ちを呼吸で感じながら活きた伴奏をしてくれます。

少し長めに弾いたり、自分の方が前に出て一息つかせてあげたり、変幻自在、とても素晴らしい伴奏でした。

 

続いてメンデルスゾーンの三重奏。

第3&4楽章だけでしたが全曲を聴きたくなりました。

矢部さんがMCだけにちょっと遠慮気味にご子息と松田さんを前に前に引き出しながら、息がピッタリ合った演奏でした。

ここでも、松田さんの出るべきところは遠慮なく前に出て、支えるべきところではしっかりと強固に土台を作って支える、過不足ない演奏で3人のしっかりとしたアンサンブルを構築する素晴らしい演奏でした。

 

アンコール、まずは3人のトリオに歌を付けて1曲。

続いて「言葉は交わしませんが、音の会話はしておこうと思います」と親子二人でモリコーネ。

特筆すべきは、ここまで出ずっぱりの松田さんが唯一お休みの曲でした。

 

そして再度トリオと歌で、と思ったらMC矢部さんが「まだご当人にはお伝えしていませんがサプライズゲストをお呼びします」と言って「客席に座っていらっしゃる大倉由紀枝さん」と呼び出します。

そういえばインターミッションに客席とステージの間の階段を二人が掛かりで運んでいました。

「客席から澤畑さんが登場したりして」などと思って見ていました。

この階段、客席から呼び出すための仕掛けだったんです。

続いて清水華澄さんともう御一方、三人が「えっ、えっ」と戸惑いながらもステージ上で4人が待っていますから「どうするの?」とお互い顔を見合わせながらステージに登壇されました。

3人とも、普段着、一人ドレスの澤畑さん、ソプラノ&メゾ・ソプラノ4人が揃ったところで「早春賦」を歌い始めました。

覚悟を決めた清水さん、客席に「生徒さんたちも一緒に歌いましょう」と声を掛け、演奏が始まったら大きな身振りでリズムを取り、会場全体を盛り上げて下さいました。

さすがプロ、思いもよらぬハプニングだったでしょうに、さすがの対応、これじゃなきゃオペラは歌えませんよね。

素晴らしかったです。

 

演奏の素晴らしさも然ることながら、音楽の素晴らしさを存分に味わえたコンサートでした。

次いつかは判りませんが「Vol.2」が楽しみです。