ちょっと大人気分
昨夜はTVで THE RACERS という映画を真夜中まで見ていたので、少々眠い。
カーク・ダグラス主演の自動車レースの映画だったけれど、何故あそこまでレースに執着するのか?
細かいセリフが判らないだけに、結局何だったのかよく判りません。
子供の頃持っていた玩具とソックリの、葉巻みたいなボディにデカイ車輪が剥き出しで付いている、クラシックな競争自動車が出てきたのは嬉しかったなぁ。
あれは、映画用に作ったんでしょうか、それとも、その頃のが残っているんでしょうか?
明日はカナダへ行く日です。
2泊3日でカナダへ行った後、私はシアトルで脱走して、又ここへ帰って来ますから、ほとんどの荷物は預かってもらう事にして、持ってゆくものをショルダーバッグにまとめました。
背広は風呂敷包みにしようか?と思ったんですが、エフィの勧めでハンガーに掛けて持ってゆくことにしました。
ちょっと、ここ数日ジタバタしたので休養。
夕方早い時間にロジャーが帰ってきて「今夜は夜のシスコを案内してやろう」と言い出しました。
エフィとコラリアは何だかとっても喜んでいます。
軽く食事をして、さて出発。
さすがに女性は出かけるときには化けますね!
二人とも見違えるほどチャーミングです。
まずロジャーの事務所の近くに車を預けて、入った店が Rolling 20。
これはバーなのかクラブなのか?
日本でもこういう店には行った事が無いので、少々緊張します。
韓国や台湾で行ったのは、屋台かせいぜい船員相手の飲み屋ですから、緊張することも何も無かったんですけどね。
大きなUの字の幅の広いカウンターがあって、あんまり混んでいません。
「何にする?」
「ん~っと、7up」
カウンターの中のおネエさんが、大げさに目玉を剥きました。
拙かったかな?
コラリアが何やら言うと、ニコッと笑って背の高いグラスをくれました。
薄茶色の泡だったのが入っています。何かなぁ?とクンクン匂いを嗅いでいると、
「大丈夫よ、ジンジャー・エールだから」
そう言われてもジンジャー・エールが何物かを知らないんですよ。
おっかなびっくり一口すすると、サイダーの一種ですね。
ロジャーは例によってオリーブの入ったカクテル。
エフィは大き目のグラスに入った綺麗なピンクの、多分カクテル。
コラリアのは小さ目のグラスで無色の液体に真っ赤なサクランボが入ってます。
一口飲んで「味見する?」と言う風に差し出すから、ちょっと飲んだら、ワッきつい!
未成年がこんなのを飲んでも良いんですかね?
親が一緒だからいいのかなぁ?
見ている間にお代り、この連中は酒飲みですね。
何だかザワザワとしたと思ったら、音楽が大きくなって、カウンターの上をおネエさんがブランコに乗ってビューン。
キャッ!トップレス・・・。
親子連れでこんな所に来るか!
しかし、巨大というか、スゴイとしか言いようの無い・・・。
どういう態度を取れば良いのかなぁ?
皆んなアッケラカンと拍手したり、おネエさんに手を振ったりしてますね。
ブランコが終了すると今度はカウンターのところに居たおネエさん達が一斉にトップレスになって、カウンターの中の台の上で踊りだしました。
情け無いけど、私、度肝を抜かれてアホ面になってるでしょうね。
ひとしきり賑やかなのが終ったら、元に戻ったのは良いけれど、おネエさんトップレスのまんま。
「彼女のって凄く綺麗だと思わない?」
そういう事を言われても「Yes, I think so!」てな間抜けな事しか言えないのが情け無い。
おネエさんとコラリアが何か喋ったかと思うと、ニコ~ッと笑って「Thank you!」グラスを持って、私と乾杯しようといってるみたい。
訳の判らないまま「乾杯!」
「何だったの?」と小声で訊くと、
「日本では決して見られない素晴らしい物を見て、彼は感激している」って言ったんですって。
大筋では間違ってはいないけどなぁ。
「さぁ、次へ行こう!」と歩き出しました。
エフィとコラリアは、何時もより一寸陽気になっているみたいです。
何だか重厚な建物の横道に面した、小じんまりした店に入りました。
Blue Fox と看板が出ています。
此処は割合に静かです。
しかし、ドキドキするような美人が揃ってますねぇ。
コラリアが小さな声で何か言っていますが音楽で聞き取れません。
コースターに書いてくれたのは「皆んな男よ(All Boys)」
(このコースター持って帰ってきた筈なんですが、見付かりませんねん。)
うそぉ!男?オカマ?男女?
前にも家族で来たことがあるそうです。
初めて見ました、全然見分けがつきません。
ロジャーは一体何を考えてるんでしょうね?
こういう店って、エライ特殊な店と違うのかなぁ?
マイクを持つとおネエさん(お兄さん?)が歌いだしました。
目をつぶって聴くと、惚れ惚れするほど深みのあるいい声なんですが、丸っきり男の声。
姿と声がひどくチグハグで混乱します。
前の建物は、市の Morgue(死体置き場)だそうです。
この店が面しているのは建物の裏側の道なので、言われなければ全く判りません。
とんでもないところに、とんでもない店が有るんですね。
早くも2杯目を空けたコラリアが「チェリー要る?」とグラスを出しました。
断るのもどうかと思って「Thanks!」といってもらうと、それを見ていた、おネエさん(お兄さん?)が笑いながらコラリアに早口で何か言って、二人で大笑い。
挙句にコラリアが突然私の頬っぺたにキッスしました。
何だか知らないけれど、娘さんちょっと酔っ払ってるみたいですよ!
エフィが「何?」と言う風にこちらを見ると、おネエさん(お兄さん?)がクックッと笑いながら説明しているんですが、全く何を言っているのか聞き取れません。
頬っぺたを見せろと言っているようなので、見せると、ロジャーと二人で手を叩いて笑っています。
私は訳が判らないので一寸不機嫌。
可哀想に思ったのか、ロジャーが説明して、エフィが補足してくれたところによると、良くは判らないけれど sex 絡みの軽い冗談らしい。
そう言う事ならと、横を向いてコラリアの頬っぺたにキッスしてやった。
「やった!(At'a Boy!)」と皆が大拍手。
コラリアは「Oh goody!」
う~判らん・・。
ブラブラ歩いて車のところまで戻って、丘の上に夜景を見に行きました。
見ていなかったけれど、ロジャーは結構飲んでたのと違うかなぁ?
急なクネクネした坂を登って行くと、天辺に公園が有ります。
きれいですねぇ、シスコの町、真っ黒な海、ゲートブリッジ、ベイブリッジ、薄っらと流れる霧。
腕を剥き出しにしたエフィにロジャーがジャケットを掛けてやったので、真似をしてコラリアに掛けてやりました。
「ウ~」と意味不明の声と共に腕を組んでくれました。
こうして夜景を見ていると、とても現実とは思えません。
その上、3日後には団体から離れて残留するのです。
今までもほとんど単独行動で、団体とは一緒に行動していないし、知り合いが居るわけでもないのです。
それでも、日本から同じ飛行機で、一緒に来た連中が、広いとは言え同じ地域に居るというのは、何かしら心強かったんですね。
今になってそんな事に気付いても、もう手遅れ。
何となく心細くなってきましたねぇ。
少し黙っていると、
「どうした?(What's you think about?)」
「う~んと、何か不安で・・(Am・・ something disquiet)」
「What?」
「Anxious」
「心配するな、家族じゃないか。(Don't worry about, we're a family, OK?)」
「ありがとう(Thank you)」
なんだかしんみりしてしまうなぁ・・。
2003/05/21:初出
2022/05/15:再録