18世紀に、イギリスで盛んに行われていた奴隷貿易。
奴隷貿易廃止に向けて、情熱を燃やす、ウィリアム・ウィルバーフォース
(ヨアン・グリフィズ)の生涯の話しだ。
意欲的に行動し、挫折し、自身も病と闘い苦しむウィルバー。
そんな彼を、支え続ける仲間と、親友ウィリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ
)。
じわじわと、胸にしみる作品だった。
現代に生きる私は、奴隷制度など、わからない。
然し、アフリカから、船に乗せられた600人の奴隷は、到着する頃には200人になってしまったと言う。
狭く、不衛生、食料もわずかしか与えられない。
暴行され、死んだら海に投げ捨てられる。
皆、名前もない。
誰にも、知られることなく、無くなる命。
その、悲しみが伝わった。
富裕層であるウィルバーの闘う姿。
誰かのために、何かのために闘う。
美しい唄として耳にする、『アメイジング.グレイスヨアン・グリフィズ』には、奴隷貿易の時代、奴隷船の船長が作ったと言うエピソード。


『ウィルバーとピットは、ウェストミンスター寺院に眠っている。
辛い昼間、すがり付くように、たどり着いた先。

学生時代の同期、勤め先の同僚、人前結婚だった彼女。

彼女の声が聞きたかった。
疎遠にしていたのは、私の方だった。

彼女は、いつもキラキラしていて、優しかった。

そんな彼女を探した。

同窓会事務所でも、わからなかった。

彼女の彼は、法学部で、弁護士を目指していたはず。
弁護士事務所で、検索を繰り返し苗字だけ一致した所。

すがるように、電話をした。

応対の女性は、とても恐ろしかった。

絶望のショックで、動けなくなった。
ぐるぐると、捲し立てるように話す女性の声が、頭の中を回って離さない。

何時間も、へたりこんでいた。
自然に、カミソリが頭に浮かぶ。
助けてもらおうか。

然し、体か動かない。

動けないまま、苦しさを我慢していた。

勇気を出して、エイッと立ち、安定剤と睡眠薬を飲んだ。

これが、最善の方法だろう。
落ち着きを取り戻しながら、『人違いか…。』と思った。

端的に用件を誘導することもなく、私の言葉をさえぎった。
話すことが、仕事だった私には、理解出来なかった。私の心情など、関係なかった、事務所の収入につながらない話しは、切り捨て。
人を助けるのが、弁護士の仕事と認識していた私は、『あんな応対をしている人が、関わっている訳はない、人違いだ』

と、我慢しながら薬の世界に入った。

夜を待ち、スーパーに行った。

帰宅すると、○○東京法律事務所から、2回着信履歴あり。

飛び付くように、かけ直した。
電話の向こうは、話したかった、弁護士さんだった。
声を聞いた瞬間、彼だっ
!とわかった。
私は、突然の電話を詫び、用件を手短に話した。
電話の向こうからは、あなたの話を、『聞いていますよ』とゆう姿勢が伝わってきた。
『はい。』、『はい。』、と、受け止めながらの相づち。
昔と、ちっとも変わらない、優しく穏やかな微笑み。
ひしひしと、胸に伝わってきた。
『彼女に、電話するよう伝えます。』と、電話番号を教えてくださり、終話。

涙が溢れた。
氷を溶かす、温かい涙。
とめどなく、流れた。

心に氷を持つ者だけに、触れる何か。

電話の向こうから、伝わったのだ。

やっと、苦痛から解放された。


亡くなった、母の後見人も、こんな弁護士さんだったら良かったのに。

こんな弁護士さんだったら、人を救うことができる気がする。

『ОО東京法律事務所』には、法律的に困った時、力になってくれる、弁護士さんがいる。


私は、心を救ってもらった。



失う怖さを持っていない。
これは、あくまで、物質的にと言う意味だ。

大切な人を、失うのは怖い。
私は『医療もの』の、ドラマや映画が好きだ。

それは、私自身が、医療に携わっていたからかも知れない。

然し、繰り返し観ているうちに、怖さがわいてきた。

現実に、身近な人を、失う怖さだ。

過去に、当時の夫が心筋梗塞でたおれ、『助からない可能性が高いので、覚悟をしてください。』
と医師に言い渡されたことがある。
土色の肌、『寒い、寒い。』と言いながら、どんどん血圧が低下していった。

その時の私は、まだ若く、健常だった。
体中が緊張感で、凍りつく中、怖さはなかった。

『私と子供とで、生きていく』と、即座に覚悟を決めた。

幸い、夫は一命をとりとめ、社会復帰することができた。

思えば、あの頃の私は、心身ともに強かった。

強くあらねばならなかった。

その後も、づっと。

子供と、子供のようになってしまった夫。

常に、柱でなければならなかった。

『私は鉄人ではない』と、心の中で叫びながら、強くあり続けた。

そして、壊れた。

鉄人ではなかったのだ。

今、同じことが起きたら、どうだろう。

昔のような強さは、もうない。

大切な人を失うのは、とても怖い。

『医療もの』は、しばらく、観ないことにしよう。

一度、わいてしまった、怖さ。

消すのは難しいと、わかっている。

迂闊だった。