(今回は街歩き日記のため長文です)
2月11日、久しぶりに浅草へ来ました。
江戸時代の版元「蔦屋重三郎」(蔦重)に関するスポット巡りをするためです。
まずは浅草の仲見世~浅草寺周辺を歩きました。
仲見世周辺の商店街はNHK大河ドラマ「べらぼう」の暖簾がかかっていて大賑わいでした。
NHK大河ドラマ「べらぼう」の暖簾
浅草寺西側の奥山おまいりまち商店街、浅草西参道商店街は「浮世絵と歌舞伎まつり」で賑わっていました。中でも「江戸巨大提灯(ちょうちん)」に描かれた歌川国芳の寄せ絵「見かけは怖いが とんだいい人だ」は強烈なインパクトがありました。
「江戸巨大提灯(ちょうちん)」に描かれた歌川国芳の寄せ絵「見かけは怖いが とんだいい人だ」
浅草寺近くには「映画弁士碑」があり徳川無声など往年の弁士の名前が刻まれていました。
映画弁士碑
浅草寺を過ぎると「添田唖蝉坊碑」「添田知道筆塚」がありました。添田唖蝉坊は明治・大正時代に演歌の作詞・作曲などを手掛けた人物で、長男の添田知道の著書「教育者」全4巻はとても味わい深い作品のようです(まだ読んでいません。汗)。
文士 添田知道 筆塚
仲見世に近づいて初めに目に入ったのが「人形焼」の文字でした。折角なので餡入りの人形焼6個入りを一袋購入しました。
人形焼「亀屋」
その後、台東区民館9階へ行き「べらぼう 江戸たいとう大河ドラマ館」に入りました。NHK大河ドラマ「べらぼう」の登場人物の衣装や小道具の展示などがされています。展示されている冊子「吉原細見」などは江戸当時のものではありませんが、細部まで拘って複製されていて一見の価値があると思います。浮世絵を刷る際に使うばれんは通常丸い形をしているので、四角いばれんが気になりました。展示内容から蔦屋重三郎が吉原を盛り上げようとした熱意、その熱意が人を動かしたことが強く伝わってきました。
黒塗りの目立った従来の「吉原細見」(複製品)
蔦屋重三郎が作り直した「吉原細見」(複製品)
ばれん、版木など。「ばれん」が四角いのが気になる。
書店「つたや」
その後浅草寺の裏界隈を歩き、軽く昼食を済ませてから、雷おこしを購入。浅草と言えば、やはり「人形焼」と「雷おこし」でしょう、と言うのはもはや時代遅れでしょうか(汗)。
仲見世界隈では「浅草めんち」「抹茶ジュース」に長蛇の列ができていました。「天ぷら」「手打ちうどん」「蕎麦」は海外から来た人が大勢並んでいました。和食ブームでしょうか。
近くに豆かんてんの美味しい甘味処「梅むら」があるので小休憩。
甘味処「梅むら」の「豆かんてん」
蔦屋重三郎が葬られている「誠向山 正法寺」に行きました。火災・震災・空襲により元の墓石は残っていませんが、災難のたびに歴代住職がかき集め守り続けてきた蔦屋重三郎の遺骨が萬霊塔に安置され供養されています。
「誠向山 正法寺」の外観
蔦屋重三郎の遺骨が安置されている萬霊塔
いよいよ「江戸新吉原耕書堂」へ向かいました。
江戸新吉原耕書堂では、蔦屋重三郎と耕書堂にちなんだ商品が販売されていました。
「吉原細見」などが展示されていますが、こちらもNHK大河ドラマ館と同様に複製品でした。当時、花魁が履いた下駄などは実物が展示されています。折ると浮世絵の絵柄になる折り紙など、販売しているグッズに工夫が見られました。この「江戸新吉原耕書堂」は自治会で運営しているようです。
2025年に自治会が吉原に開業した「江戸新吉原耕書堂」
「吉原細見」など(複製品)
花魁が履いた下駄(実物)
折ると浮世絵の絵柄になる折り紙
1772年に開業した耕書堂は「江戸新吉原耕書堂」の場所ではなく、見返り柳から吉原大門へ行く途中にあったそうですが、その跡地には何も残っていません。
NHK大河ドラマで蔦屋重三郎が主人公の「べらぼう」が1月5日から放送され、東京国立博物館で「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が4月22日から開催されるなど、2025年は蔦屋重三郎が脚光を浴びる年になるでしょう。そして、2026年に再開されるリニューアル後の江戸東京博物館の展示につながっていくものと思います。
(耕書堂に関して)
1783年9月に日本橋通油町に新しい地本問屋「耕書堂」を構えましたが、1772年に開業した吉原の耕書堂は2号店として営業を続けました。初代蔦重が亡くなった後も2代目蔦重が耕書堂を運営しましたが、通油町から横山町、小伝馬町、浅草へと移転し、版元としての活動は活発ではなくなり、4代目で幕末に蔦屋は終わったとも、5代目が継いだが明治初めに終わりを告げたともいわれています。(書籍「蔦屋重三郎と江戸の文化を彩った天才たち」メディアソフト)
移転していく「耕書堂」
*書籍「蔦屋重三郎と江戸の文化を彩った天才たち」(メディアソフト)より引用
再現された日本橋通油町の地本問屋「耕書堂」
*上記3枚は、日本橋 呉服問屋「イチマス田源」にて撮影
「ばれん」が丸い
再現された「耕書堂」の店先(ドールハウス作家 小幡耕一作)
*上記2枚は、藤枝市郷土博物館特別展「大江戸の暮らしと街並み展」チラシより引用
「画本東都遊(えほんあずまあそび)」葛飾北斎画