本日は子供の日です。しかし日本では少子化は止まらずずっと子供の数は減り続けています。その対策としても先月から子ども・子育て支援金、通称「独身税」という名称の社会保険料が追加徴収される制度が導入されました。ネット上で非常に評判の悪いこの制度ですが、一番多い批判は子供子育て支援金はいわゆる独身税は、「子育て世代以外の独身者にとっては一方的に徴収されるだけでメリットがない。一種の独身者への懲罰になっている」というものです。
そこで今回は子供子育て支援金いわゆる独身税は独身者への罰なのか?について考えてみたいと思います。
題材となる記事と動画は以下の二つになります。
独身税は独身者への罰か Z世代の8割が反対し少子化加速の懸念
【西田亮介×安田洋祐】「独身税」は独身者への罰なのか
まず上の記事では全国の22~30歳のZ世代2000名を対象に実施した調査結果がデータとして掲載されています。データは元記事を見て欲しいのですが、以下のように分析されています。
>導入に対する賛否については、子どもがいない層では8割以上が「反対」を表明。その背景には、個人のライフスタイルに対する不当な介入や、経済的な圧迫への強い懸念がある。しかし、子どもがいる層に視点を移すと、過半数が社会保障制度を維持するためには「やむを得ない」と回答。次世代を育てる責任を負う立場から、制度破綻を防ぐための苦肉の策として受け入れる姿勢が見て取れる。
>一方で、子どもの有無を問わず約7割が、独身税を「独身者へのペナルティ(罰)」であると感じていると回答。この「罰」という感覚は、少子化対策としての有効性にも影を落とす。独身税が導入された場合、結婚や出産の意欲が「高まる」と回答したのはわずか3%前後。対照的に、約20%が「かえって意欲がなくなる」と回答している。経済的なインセンティブを期待した設計であっても、心理的な反発がそれを上回り、結果として少子化をさらに助長させかねないリスクが浮き彫りとなった。
記事のデータを見たところ、子供のいない層では8割以上が反対、子供がいる層でも5割ぐらいしか賛成がいないという結果になっています。子供子育て支援金って働いている現役世代の手取りが減るという点で実質的に増税するのと一緒ですので、予想できた結果ではあります。ただ、子供子育て支援金を徴収したところで急に少子化が止まることはありません。というのは子供子育て支援金の予算はすでに子供が生まれた世代にお金を配ったり支援をしたりするだけで、これから子供を産もうとする世代を支援する政策ではないからです。つまり、独身税は子育て支援としての効果はあったとしても少子化対策としての効果はないと言っていいでしょう。はてな家は独身税により子育て支援を受ける方ですが、この支援金をもらったという理由で子供もっとたくさん作ろう…なんてことにはなりません。はてなよりもっと年代が上の子育て世代は年齢的に子供を産むのが難しい年代も多く、ますますそういう結論になるでしょう。
次に「独身税」は独身者への罰なのかというテーマで大学教授二人が議論している動画を見てみました。
この動画で取り上げられていますが、日本で人口を維持するためには合計特殊出生率2.07~2.08が必要であると言われています。なぜ合計特殊出生率2.0では人口維持できないのかというと、①乳幼児死亡率や事故で成人する前に亡くなる子供がいること、②男女の偏りの問題で出生時の男女比は「男児:女児 = 約105:100」と、男の子の方が少し多く産まれるようになっているためその偏りを是正する必要があるためと言われています。つまり夫婦が3人以上を子供を作らない限り人口を維持・増加させることはあり得ず、子供が2人以下だと自動的に人口が減少することが明らかになっています。日本の場合、合計特殊出生率 1.15と言われているので、当たり前ですが世代を重ねることに人口はどんどん減るし若い人ほど人口も減っていくことになります。これは日本だけではなく東アジア全体が同じ状況になっています。
そのためお金を配って少子化を止めようという意見が出て独身税が導入されました。具体的には育児の負担(経済面・時間面の両方)をいかに減らすかというのがポイントになってきます。子供を産み育てるコストは想像以上に非常に大きいです。経済的に一人の子供を成人まで育てようと思うと約2000万~4000万かかると言われていますし、投入する時間的なコストも相当なものになります。そうなると、まず経済的に裕福な人でないと子供を作るのが難しい現実があります。過去のデータによると、世帯年収が高い夫婦ほど子供を産み育てる人数が多いということがすでに明らかになっています。子供一人を成人まで育てるのに約2000万~4000万円かかるのですから、生活していくのに精いっぱいの男女は結婚して子供をたくさん産もうと考えないのは当然でしょう。そのため子供が欲しい婚活男女は基本的に世帯年収を最大化する方向に動こうとしているのが近年の流れです。また近年共働きしながら子育てせよという政策を国が推進するようになっていますが、そうなるとどうしても育児の時間により仕事にかけられる時間やプライベートな時間を侵食されていくことになります。それは夫婦にとって子供を持つことは時間的な負担になるので、そうなると子供はいらない、あるいは子供を作るにしても一人か二人でいいやということになってしまうのは当然の帰結だと思います。近年は核家族化で親族のから育児の手助けをしてもらうのも難しい時代になっており、保育園や学童に限らず子供の育児を預けられる施設を多く作ることが夫婦の時間的余裕を作ることにもつながってくるのだと思います。
最後に、税金と社会保険料の違いについて考えてみます。geminiにこの両者の違いを聞いてみた回答は以下の通りでした。
>税金と社会保険料は、どちらも公的なサービスや生活を支えるために私たちが支払う「強制力のある負担」ですが、その「目的」と「見返り(対価性)」に大きな違いがあります。
>簡単にいうと、税金は「社会の共通経費」であり、社会保険料は「将来や万が一への備え(相互扶助)」です。
この定義によると、強制力があるのはどちらも同じですが、目的と見返り(対価性)に違いがあるそうです。そこで今回の子供子育て支援金について考えてみますと、子育て世代には見返り(対価性)はありますが、独身者あるいは子育てを終わった世代には見返り(対価性)はありません。医療保険や年金は現在あるいは将来の見返りがありますが、子供子育て支援金は一方的に徴収されるだけという結果になります。子供子育て支援金が「独身者への罰」なのか、あるいは「社会全体の投資」なのかという意見は人によって賛否は分かれるかもしれませんが、個人的には子供子育て支援金を社会保険料というのは無理があり、独身税という税金であると考える方が適切なんだろうと思っています。

