前回のブログ記事に結構反響があったので、第二弾ということでコメント欄で紹介された文春オンラインの記事を取り上げます。かなりの長文ですが、この記事を読んだうえでの感想を書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず全体を通して思ったのは、少子化で日本全体の人口が減っているという問題と都市部に人口流入するために地方の人口が減っているという問題は別物であるということです。日本の人口が増えていた高度経済成長期でも地方から都市部への人口移動は続いてましたし、もし今後出生率が急回復して若い人が増え人口が増えたとしても地方から都市部への人口移動は止まらないでしょう。記事やコメント欄を読んで思うのですが、この二つの問題をごちゃまぜにして議論している人が多すぎます。この二つは実は全く別の問題です。少子化が止まったとしても地方から都市部への人口流入はとまりません。今回の島根県の市長の発言内容を読むとこの二つの問題をごちゃまぜにして発言しているように感じます。

 

>「出生率が高いところもあるけど、総じてどこも下がっていて、我が国の傾向なわけですよ。そうすると国の政策とか、日本社会全体の問題を解決しないといけないのに、自治体ごとに取り組まないといけない課題であるかのように、誤った世論誘導をしているところが問題」

 

少子化問題については自治体ごとに取り組む課題ではなく国が取り組むべき問題というのはその通りでしょう。でも出生率が上がって人口が増え始めたとしても地方から都市部への人口移動はとまらないですよってことです。つまり前者の少子化問題は国が取り組む問題ですが、後者の地方から都市部への流出の問題は自治体ごとに取り組まないといけない問題です。それを東京の人口を地方に移住させれば解決するとか国の責任だと言っているのであればそれは間違っています。ちなみに東京だけでなく各政令都市の人口推移を見ると大阪市と北九州市以外のすべての政令都市で過去40年間人口が増えていて、地方から都市部へ人が流入する流れはとまっていません。

 

では都市部への人口移動の問題はなぜ生じるのかですが、

 

>都市部への人口集中は、企業の集中が原因の一つだと見られており、矛先は経済人へも向かう。

>「なぜ東京にでかい本社を構えないといけないのか。アメリカのように(分散立地)できないのか。それは分かりませんよ。銀座で酒を飲むのが楽しみだから、銀座から離れたくないとか。(大阪の)キタの方がいいからとか。ススキノじゃだめだからとか。博多じゃだめだとか。そんなことなのかどうか分かりませんけども、少なくとも、大きな経済主体が最適だと思っている選択の積み重ねが、日本社会としては最悪の事態を招いている。」

 

と書かれているとおり経済的な問題が大きいのでしょう。どうしてもインフラ整備や仕事場所、店舗、娯楽施設など一か所に人が集中して住んでいたほうが経済面で効率的、もっといえば生活するのに便利なんですよね。人間はどうしても何もない不便な場所より便利なところに住みたがりますし、日本中すべての地方に都市部と同じようなインフラや設備を設けるのは不可能です。もし分散させるにしても道州制を導入したうえで、各地方の中心都市、具体的には政令指定都市などにインフラを集約させていくのが現実的な気はします。

 

次に2番目の記事でブラックホール自治体と呼ばれる東京の問題ですが、長くなるので次の記事でアップします。