高学歴女性、超少子化が改善? 働き方改革や不妊治療で(リンクあり)
「都市部、高学歴、リベラルな女性の出生率が上がっている」。2018年、国立社会保障・人口問題研究所から一編の論文が発表された。夫婦1組あたりの出生率(期間合計結婚出生率)を分析したところ、2000年以降、特に2010年以降、30代で結婚した都市部、高学歴、リベラルな女性の出生率の上昇が顕著にみられたという。
高学歴は大卒、リベラルとは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という性別役割分業に反対の思想を持つ人としている。
論文の著者である同研究所の岩沢美帆氏は「以前は、この層は産みにくい数値がはっきりとでていたが、産めるようになってきている」と話す。分析では不妊治療の効果も出た。国の合計特殊出生率は2016年から再び下落しているが、「1990年代の状況とは異なり、高学歴女性の環境は改善している」と見る。
安倍晋三首相(当時)が女性活躍を掲げたのが2014年。保育園の待機児童問題や、高額な不妊治療など政府が改善すべき施策改善の歩みは遅かったが、大企業では働き方改革が進んできた。新型コロナウイルス下のテレワークの導入も後押しになる。
>保育園の利用状況にも変化
保育園の利用状況からも変化がうかがえる。かつては母子家庭など生活難の家庭への福祉サービスの側面が強かったが、慶応義塾大学の中室牧子教授らがある自治体のデータを分析したところ、高所得者で認可保育園を利用する人が増えていた。公的な病児保育サービスが不足する中で、身銭を切って民間サービスを使ってやりくりしてきた女性も多い。
米国でも2000年以降、高学歴の女性のほうが、中程度の学歴の女性より出生率が高くなったという研究がある。経済的に余裕があり、家事・育児の代行サービスを利用していることが背景にあるという。
少子化の奔流のなかで、高学歴女性の出生率が改善していることはわずかな希望に見える。ただ、そのインパクトは日本の出生率を押し上げるほどの規模ではない。さらに、産めば終わりというわけでもない。
