新ベンチャー革命2010年2月13日 No.78

ロッキード事件中曽根の秘密リーク:東京地検特捜部真っ青

1.あの世にもっていかさないぞ:中曽根大勲位の秘密

2010年2月12日の朝日新聞に、控えめにもかかわらず強烈なインパクトを放つ記事が掲載されました。

 

 それは、あの70年代ロッキード事件の際、当時の自民党中曽根幹事長が米国政府にMOMIKESU(証拠隠滅)を要望する書簡を送っていたという公文書が米国連邦政府公文書館で発見されたというニュースです。

 

 この機密情報は2008年に機密指定解除されていたようですが、どういうわけか、朝日新聞を通じて、2月12日に初めて報道されました。

ところで昨年12月には佐藤栄作元首相の遺族により、米軍の日本への核兵器持込みに関して日米両首脳で取り交わされた密約の合意書が公表されています。これらのニュースは政権交代によって日米関係が大きく変化する兆候のような気がします。

 上記、二つのビッグニュースに共通するのは戦後65年の日米関係の歴史の中で、二人の日本の首相がとんでもない秘密を抱えていた点です。

2.今、中曽根大勲位のロッキード事件秘密リークのなぜ?

上記、朝日記事は、中曽根大勲位がこれまでたどってきた90年を越す人生を、瞬時に否定するほど強いインパクト(晩節を汚すどころではないほど深刻)をもった機密情報リークです。さすがの朝日新聞でも単独では到底できないハイリスク報道です。つまり米国サイドからの強い示唆があったとみるのが自然です。もし朝日が報道を断ったとしても、米国は他のチャネルを使ってリークするはずです。日本を代表する大手マスコミ・朝日新聞は政権交代によって浮上しつつある戦後の日米関係見直しの総括儀式のテープカット役をやらされているのでしょうか。

ところで、中曽根元首相の“もみ消す”(MOMIKESU)書簡の暴露に関してはいくつかの疑問が生じます。

(1)2008年に機密指定解除がでていたのに、これまで報道されていなかったのはなぜか
(2)なぜ、この時期に中曽根氏の秘密が暴露されたのか
(3)これほどの重大ニュースを報道したのは、なぜ、朝日新聞1社だけなのか


 これらの疑問を筆者なりに推理してみます。(1)の疑問に関して、親・戦争屋日本人のドンである中曽根大勲位の名誉を守るため、米国政府が遠慮してこれまで日本政府にも日本のマスコミにも知らせなかったということでしょう。(2)の疑問に関しては、何らかの効果を狙って、日本の大手マスコミ各社のワシントン支局に米国政府がこのタイミングでリークしたと思われます。(3)の疑問に関しては、なぜ朝日のスクープなのかは依然、判然としませんが、少なくとも、読売ナベツネは中曽根氏とツーカーですから、さすがに報道を控えたと思われます。同類サンケイも読売に右へ倣えといったところでしょうか。日本の大手新聞はそろって親・戦争屋ですから、戦争屋のお墨付きがあれば、なんでもやってしまいます。そこで朝日がまず飛びついた。朝日にとって中曽根大勲位はもはやまったく怖くない存在ということです。

3.中曽根氏のロッキード事件の秘密をリークしたのはオバマ政権ではないか

 ここで重要なのは、なぜこのタイミングでリークされたのか、ということです。どのような思惑が米国政府にあったのか。現在、米国連邦政府の覇権を握っているのはオバマ政権であり、アンチ戦争屋政権です。親・戦争屋の中曽根氏への遠慮はまったくありません。

 さてそれでは、何のために? ズバリ、それは“小沢氏からの要請”ではないでしょうか[追記*]。しかも戦争屋もそれを黙認したということです。今、このタイミングで30数年前のロッキード事件を蒸し返して、もっとも困るのは誰か?それは中曽根氏というより、同事件を直接手掛けた“東京地検特捜部(小沢攻撃当事者)”その人です!

ロッキード事件に中曽根氏が関わっていたことが暴露されると、同事件を手掛けた東京地検特捜部(以下、特捜部)の捜査自体の公平性、正当性が根底から崩れるのです。今後、特捜部の存在意義が問われることになるでしょう。

4.東京地検特捜部のロッキード事件捜査が不公正だったことがばれた

歴史の真実としてはロッキード事件で有罪にされたのは田中角栄元首相であって、中曽根元首相はいっさい、罪に問われていません。ところで、小沢氏は昨年12月、恩師・田中角栄十七回忌に新潟まで墓参に出向いています。このとき墓前で何を念じたか、今、それが判明しました。まさに忠臣蔵大石内蔵助の心境だったのです。

当時ロッキード事件で賄賂金額が大きかったのは、P3C哨戒機商談の方であって、トライスター旅客機商談ではないと言われていました。ところが、東京地検特捜部が追及したのは田中氏が関与したトライスター商談賄賂のみであって、中曽根氏が関与したとの疑いのもたれたP3C哨戒機商談賄賂の方は不問にされています。

今回の中曽根氏の秘密暴露により、P3C哨戒機商談に伴う賄賂を東京地検特捜部(特捜部)は立件していなかったことが証明されました。つまり30年以上前から、特捜部の許されざる不公正が存在していたことがここに証明されました。

5.東京地検特捜部が事実上、米国政府の指揮下にあることが証明された

ロッキード事件において、なぜ、特捜部にてこのような不公正な捜査が行われたか、その理由は2006年5月、米国の国家安全保障公文書館の公文書公開によってすでに明らかになっています(注1)。特捜部による田中角栄失脚工作は、当時のニクソン政権の補佐官・ヘンリー・キッシンジャー氏の指示によるものだったのです。その決定的証拠は、当の中曽根氏自身が、自著にてロッキード事件で田中角栄失脚を指揮したのはキッシンジャーであることを、本人から聞いたと述べています(注2)。

 つまり、ネットで広範囲に指摘されているとおり、東京地検特捜部は事実上、米国政府の指揮下にあるということです。

6.決定的になった東京地検特捜部の不公正捜査の数々

さて、すでにネットで広範囲にばらまかれているリストがあります。それは東京地検特捜部が経世会政治家(非親米)や反米政治家のみを狙い撃ちにして失脚させ、親米清和会政治家や中曽根氏のような親米政治家にいくら疑惑があってもまったく不問にしているという証拠のリストです(注3)。このリストは特捜部の犯罪的な不公正捜査の実態を雄弁に物語っており、今回の中曽根秘密リークが特捜部に、決定的な駄目押しの一撃を加えたのです、しかも米国サイドから。

昨年来、小沢氏や鳩山(兄)氏が特捜部から執拗に攻撃されている理由が上記リストから一目瞭然です。米国政府内の戦争屋=CIAが小沢・鳩山コンビに特捜部を使ってプレッシャーを掛けて続けてきたのです、郵貯・簡保資金で米国債を買えと。国民のみなさん、これでもまだ、特捜部リーク垂れ流しの大手マスコミ情報を信用するのですか。

7.なぜ、米国政府は一転、飼い犬(=東京痴犬)を見捨てる行動にでたか

 米国政府が一転、飼い犬特捜部への裏切り行為(はしごはずし)に打ってでたのは、直接的には小沢・鳩山・亀井トリオの白旗(注4)にあります。

 それともうひとつ、戦後60年以上、米国政府(=CIA)が飼いならしてきた東京痴犬特捜部が暴走しすぎると、国民の疑惑を呼び、下手をすると、これまでの米国の対日ハラスメントの一部始終が国民に知れ渡ることになります。それでなくても、ネット世論の活性化でネット愛好者の間では日本におけるCIAジャパンハンドリングの実態は知れ渡っています。米国政府が狂犬化した特捜部を何とか始末しなければ、と考えてもおかしくありません(まさに飼い犬に手をかまれそうになっている)。つまり、彼らは急膨張する日本のネット世論の動向をいよいよ無視できなくなったのです。

 2010年2月4日、小沢不起訴が決まったにもかかわらず、特捜部は今なお、小沢失脚をあきらめず執拗に食い下がっています。ついに小沢夫人の実家、福田組にまで手を伸ばしています。もう狂っている(狂犬)としか言いようがありません。

 米国覇権主義者たちは、原爆を落とされるまで、降伏を拒否して粘り続けた旧日本軍を連想しているはずです。

 さらにもうひとつ、小沢氏の今年5月GWの訪米が決まっていますが、彼は郵貯・簡保資金による米国債引き受けを約束する代わり、戦後日本の政治を病的に歪めてきた東京地検特捜部(=CIA対日監視機能)のリストラ・解体を求めている可能性があります。今回の中曽根秘密リークは、それに対する米国サイドの意思表示(小沢要請ゴーサイン)ではないでしょうか。もしそうなら、小泉・竹中一派(検察内の小泉人脈を含む)はクビを洗って待つことになります。

追記* 小沢氏の公用車内にロッキード事件著作(平野貞夫著:小沢氏の元側近)が置いてあることが2010年1月23日に撮影されている。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/349495/slideshow/263368/

注1:ベンチャー革命No.195『裏切り者ジャップ:キッシンジャー語録』2006年5月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr195.htm

注2:ロッキード事件、ウィキペディア参照

注3:JanJanニュース、2010年1月6日、山崎康彦、経世会と清和会

http://www.janjannews.jp/archives/2177793.html

注4:本ブログNo.77『いよいよ小泉一派がCIAの身代わりにされるか』2010年2月11日

 

http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/8546616.html

 

https://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/8679646.html

 

 

ロッキード事件から40年 「日米安保が破壊される」と疑惑もみ消しを依頼した中曽根幹事長

 

ロッキード事件から40年が経ち、米国では事件に関する「秘密文書」が指定解除されている。それらの文書から朝日新聞編集委員の奥山俊宏氏は、重要な事実に思い当たったという。

*  *  *
 1976年7月27日、田中が東京地検に逮捕されると、米国の在日大使館は国務省に報告した。

「日本の一般の人々の間には、米政府と日本政府がスキャンダルを隠蔽しようと談合しているという疑念が根強くありましたが、田中逮捕はこれを払拭することになるでしょう」

 9月2日午後、ホワイトハウスで、駐日大使のホジソンは、田中逮捕を含むそれまでの経緯を振り返って、大統領補佐官のスコウクロフトに感想を漏らした。

「本当の奇跡です。米国政府の非協力への非難は、大きな魚が明るみに出たことで、筋道が通らなくなりました。ロッキード以前よりも米日関係はむしろ強くなっています。つま先をぶつけることなく、それを成し遂げています。これは三木のおかげです」

 ホジソンは、田中を逮捕した日本政府のトップ、三木武夫を称賛した。

 ロッキード事件への対応にあたって米政府が最も重視したのは米国の国益だった。自民党が下野するようなことになれば、日米安保条約が破棄され、米国の国益にマイナスになるのではないか、と恐れた。それを防ぐことが至上命題だった。

 76年2月23日、日本への資料提供について、米司法省のソーンバーグ刑事局長は司法長官への報告の中で「情報開示やそれに続く訴追によって友好国政府に生じるかもしれない害悪」などの検討が必要だと指摘した。

「たとえば、国務省は、関与者が特定され、公開されれば、日本政府は倒れ、その結果、より非友好的な政府になりそうだと心配している」

 ソーンバーグによれば、2月23日時点で、国務省は、三木政権に協力することが米国の国益に資するかどうか見解を固めていなかった。このため、その判断が固まるまでの間は、日本への資料提供について最終決定は見送る方針とした。

 つまり、犯罪捜査の任にある司法省でさえ、捜査の都合よりも、「より広い国益」を優先する必要がある、という立場だったのだ。 

 

これに先立つ4日前の2月19日朝、自民党幹事長の中曽根康弘は内密に米政府の代理人に会い、関与政治家の名前の公表によって「日米安保条約の枠組みの破壊につながるかもしれない政治状況」に陥る恐れがあると指摘した。ホワイトハウスに保管されていた米大使館の公電によれば、中曽根は「私は合衆国政府がこの問題をもみ消すことを希望する」とのメッセージを託した。

 表では、政府も自民党も、中曽根自身も、「徹底的に究明する覚悟だ」「米側に全資料の提供を重ねて要請していく」と公言していた。ところが、裏では逆のメッセージを米政府に届けたのだ。これについて駐日大使のホジソンは種々の考察を加えた上で、「さらなる有害情報の公表」は避けるべきだと本国の国務省に進言した。

 最終的に、米政府は日本の検察に資料を提供した。提供される情報は、訴訟では用いることができるものの、それ以外の場面では秘密とされる、というのが両国政府のとりきめの骨子となった。その情報を端緒として、日本の検察はロッキードの代理店商社の丸紅の首脳から自白を得て、田中の逮捕・起訴にこぎつけた。

 ロッキード社の対日工作は、米政府の諜報機関CIAも報告を受け、了解していた。また、CIA自身も日本の政治家にカネを流していた。こうした疑惑も76年4月初旬に報じられ、日本政府は当初、米政府に真偽を問い合わせた。米政府は否定も肯定もしない態度を貫き、駐日大使のホジソンが三木に直接会って、「CIAは避けるべき問題です」と忠告した。

 私はこの夏、これら7年ごしの取材と分析の成果を書籍『秘密解除 ロッキード事件──田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店)にまとめた。

 たしかに、「田中は米政府の虎の尾を踏んだ」説には、それを裏付けるかのような、いくつかの状況証拠があった。

 しかし、原稿を書いていて、そんな「虎の尾」説の真偽より重要だと私が思い当たった事実がある。 

 

CIAやロッキード社のカネを受け取っておきながら、逮捕もされず、公表もされなかった政治家がいた。米政府にロッキード事件を「もみ消す」よう要請したとして米公電に名前を刻まれながら、それを隠しおおせた政治家がいた。

 もし70年代、80年代にそれが発覚していれば、それら政治家の政治生命に致命的な悪影響を与えただろう。つまり、それは彼らの弱みとなった。そして、それら政治家の中には、のちに首相に上り詰めた人が複数いたし、暴露に怯え続けた末に自死を選んだ人もいた。

 そうした事情が判明したのはいずれも2006年以降のこの10年のことだ。

 日本政治の枢要な地位にあった人たちが米政府に弱みを握られ、その「虎の尾」に怯え、恐怖や懸念、不安を抱え続けてきたのだと考え当たったとき、私は暗然とする。

 40年を経ようという今になって初めて秘密を解かれつつあるロッキード事件はそうした問題を私たちに提起し、突きつけている。(敬称略)

週刊朝日  2016年8月5日号より抜粋 

 

https://dot.asahi.com/wa/2016072700214.html?page=1