〇あらすじ

 溝口健二が自らの原作を監習した、最高傑作と評される人間ドラマ。京都・祇園の色街で働く姉妹を主人公に描いている。

山田五十鈴と梅村蓉子が対照的な姉妹を見事に演じ分けた。残念ながら一部のフィルムが消失してしまっている。1956年に同名で再映画化された。 

義理人情に厚く男に尽くす姉の梅吉(梅村蓉子)と、気が強く男から金品を得ようとする妹のおもちゃ(山田五十鈴)。二人は京都で有名な芸妓の姉妹だった。ある日、梅吉の世話をしていた古沢が二人の家に転がり込んできた。姉が留守なのを良いことに、今や破産し無一文となっていた古沢を、おもちゃは追い出してしまう。二人はそれぞれ男を相手に商売を続けるが、現実は厳しく、やがて男に裏切られ修めに捨てられてしまう。

1936年製作/95分/日本

 

〇感想

京都は7月1日から祇園祭の時期に入ります。祇園祭は日本三大祭りの内の一つ、更に京都三大祭りにも含まれます。全国的にも有名な祇園祭ですが、イマイチよく分からない部分があります。沢山の人と鉾が動いているイメージの祭りです。;;

祇園祭は疫病を退散させることが目的の祭りのようです。元々は陰陽師の祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)という疫病退散の儀式で、平安時代の869年に、京都各地ではびこる疫病を鎮めるべく行われたのが始まりのようです。当初は平安京の庭園である神泉苑に3つの神輿と66本の鉾(その当時の国の数)を立てて祇園の神々を祀ったとのこと。徐々に派手になっていき現在のような形式になったらしいです。山鉾巡行は、前祭:7月17日 / 後祭:7月24日。

コロナが終息した今だからこそ、祇園祭の目的を知り参加したいと思います。
※以前のブログで神泉苑を紹介しています。祇園祭の発祥の地です。

 

さて、今回の映画はそういう京都の中心、八坂神宮の傍にある祇園の花街での話です。

この映画は戦前の映画ですが、描いていることは今も昔も大して変わっていません。映画に登場する姉妹は、苦労しながら芸妓として生きて行く二人です。姉は人情派、妹は現代風の考え方の芸妓です。88年前の映画なのですが、若い頃の妹のおもちゃ(山田五十鈴)の考え方、行動が現代的で、周囲に対するハッキリ発言がハラハラします。また映画冒頭の八坂神社にお参りするシーンは山田五十鈴さんが凄く綺麗でした。それとは反対に映画のラストで、世間を呪う妹のおもちゃが病室で怒りを吐露するシーンは鬼気迫る演技でゾッとします。(映画も突如として終わる)この映画は当時の京都の文化、風景、言葉、他を見る事ができて歴史的な価値もある作品です。Amazonプライムで課金なしで鑑賞することが出来ます。

 

ところで映画「祇園祭」という映画があります。1968年公開の映画で尺は168分、出演が中村錦之助、岩下志麻、三船敏郎、田村高廣、永井智雄、志村喬、伊藤雄之助、北大路欣也、高倉健、渥美清、美空ひばり他、、、当時の東映、東宝、松竹出身のオール・スターが参加しており凄いメンバーで映画を撮影しています。しかし、撮影は色々とトラブルがあり、最初の企画から完成まで7年を費やし、苦難の末に完成したようです。

そういう映画ですが、著作権は京都府が保有しています。その為、権利関係が複雑に絡んでいるので、DVDなどのソフト化はしていません。もちろんサブスク配信もないです。唯一、祇園祭のシーズンに京都文化博物館(映像ギャラリー)で行われる上映会が鑑賞のタイミングという幻の大作です。今年は是非、鑑賞したいと思います。

祇園祭記念特別上映
Date
2024.7.16(火) 〜 7.24(水)

 
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