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〇あらすじ

「魔女」をテーマに、赤子をさらわれた家族が次第に狂気の淵へと転落していく姿を描き、第31回サンダンス映画祭で監督賞に輝いたファンタジーホラー。

1630年、ニューイングランド。ウィリアムとキャサリンの夫婦は、敬けんなキリスト教生活を送るために5人の子どもたちと森の近くにある荒地へとやって来た。しかし、赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行方不明となってしまう。家族が悲しみに沈む中、父ウィリアムは、娘のトマシンが魔女ではないかとの疑いを抱き、疑心暗鬼となった家族は、狂気の淵へと転がり落ちていく。

第70回英国アカデミー賞で新人賞にあたるライジングスター賞にノミネートされ、M・ナイト・シャマランの「スプリット」でもヒロインを務めたアニヤ・テイラー=ジョイが、家族から魔女と疑われるトマシン役を演じた。監督はホラー映画の古典的名作「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)のリメイク版監督に抜てきされ、本作が初メガホンとなるロバート・エガース。
2015年製作/93分/G/アメリカ

※映画.comから抜粋

 

〇感想

この映画の主演であるアニヤ・テイラー=ジョイは、最近では映画「マッドマックス/フュリオサ」で戦闘と憎しみ覚え、それと引き換えに、心と片腕を失った女戦士フュリオサを演じている。

アニヤ・テイラー=ジョイは、魔女から孤高の女戦士まで演じきれる女優に進化している。現在は29歳なので、映画「ウィッチ」撮影時は18歳、19歳くらいで〝自分は何者?〟という悩める少女の役を演じ切り、その頃から既に女優の資質は備わっていたと思える。

 

内容については、映画冒頭から不気味な音楽とカット割りの演出で鑑賞者の不安を煽る。それは映画のエンドクレジットまで続き、鑑賞後も後を引き非常に疲れる。

 

物語の趣旨は少年から青年に体と心が変化する少年と、アニヤ・テイラー=ジョイ演じるトマシンもまた、少女から大人へと変化する時期であり、その心身の不安定感を魔女伝説をモチーフに描いている。また両親も成長し、自分達より能力が優れてくる子供達に対する言い知れ得ぬ恐怖心を黒ヤギ、ウサギを象徴として、その心情を表現している。

 

昔の日本でもそうであったように出産=死という恐怖もこの映画では魔女が子供をさらう、魔女が男の子を誘惑する、娘が悪魔に魂を売り魔女となる、など出産から子育ての不安感も合わせて描いていると感じる。

全編通して不気味なシーンが多いが、その中でも特筆すべきシーンは、魔女が魔法のほうきで夜空を飛行するシーンである。魔女が裸で、誘拐した子供の肉を魔法のほうきに塗りたくり、それにまたがり飛行するシーンは本当に憂鬱かつ不気味で怖い。

魔法のほうきを整備する魔女。

 

〇映画のお供

「さくらんぼ」

山形の友人から〝さくらんぼ〟が届いた。佐藤錦と紅秀峰という品種らしい。

6月中旬、下旬が山形さくらんぼの最盛期。

佐藤錦は身が柔らかく酸味と甘みのバランス良し。

紅秀峰は身が大きく締まっており、甘みが強め。

さくらんぼにも、人の様にそれぞれ個性があるようだ。