初期のイングマール・ベルイマン監督の作品には俳優のマックス・フォン・シドーは欠かせない存在である。マックス・フォン・シドーと言えば、「深夜の霧が立ち込める洋館に一人佇み、これから始まる悪魔との闘い」、、、そう、映画「エクソシスト」のいメリン神父役で有名な俳優です。

今回はイングマール・ベルイマン監督&俳優マックス・フォン・シドーコンビの映画3選です。

では、どぞ!

映画「エクソシスト」のマックス・フォン・シドー(メリン神父)



「野イチゴ」
〇あらすじ
スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマンが、ひとりの老人の1日を通して人生のむなしさや孤独をつづり、ベルリン国際映画祭金熊賞をはじめ数々の映画賞に輝いた傑作ドラマ。名誉博士号を授与されることになった老教授が車で授与式場へと向かう道のりを、老教授の回想や悪夢を織り交ぜながら描いていく。
1957年製作/89分/スウェーデン
※映画.comから抜粋

〇感想
この映画は初見で「野イチゴ」というタイトルがファンタジー映画かと思い避けてきた。
ただあるブロガーさんのコメントを見ると、そうでもないので観てみた。

マックス・フォン・シドーは、ガソリンスタンドの店主として登場している。高身長で独特な顔をしているので分かりやすい。この店主は昔から主人公イサクに世話になっているようで、里帰りのイサクがガソリンを入れた時に、ガソリン代を貰わない、また、これくらいでは昔の恩義の義理を果たせないというくらいに義理人情に厚いタイプの男を演じている。(ハマり役である)
女優陣は綺麗な人ばかりで、そういう観点では見応えがある。

主人公のイサクは70代後半の老教授、人生を振り返る1日となる。だいたい父親っていうのは自分の事は棚に上げてモノを言う生物で、この映画を観る限りでは国、地域を問わずそのようである。イサクの家系もそのようで、自分の過去を振り返りつつ若者、息子の嫁に色々と講釈を言ってしまう。

物語に出てくる課題は現代と同じく、家庭不和、不貞、嫁姑問題、などなど、それを死期を感じた

老人のフィルターを通して語っていく。自分自身がその意味を理解するまで20年以上あるので、

自分にとっての〝野イチゴ〟は何になるのか、もう暫く放置しておく。

現段階では〝おにぎり〟かも?(お洒落やないな、、、)




「処女の泉」
スウェーデンが生んだ世界的巨匠イングマール・ベルイマン監督が、敬虔なキリスト教徒の娘に降りかかった悲劇と父親の復讐を通して“神の不在”を描いたドラマ。16世紀スウェーデンの田舎町。豪農のひとり娘カリンは、教会へ向かう途中で3人の羊飼いに出会う。貧しそうな3人に食事を施すカリンだったが、彼らはカリンを強姦した上に殺害してしまう。娘の悲劇を知ったカリンの父テーレは、復讐心から3人を惨殺するが……。
1960年製作/89分/スウェーデン
※映画.comから抜粋

〇感想
この映画は凄く悲しい映画で、無主教な私でも、観た後は尾を引きます。

今回、マックス・フォン・シドーは主役で、手塩に掛けて育てた娘を不条理な理由で殺される父親役を演じています。
ラストで娘の遺体があった場所から泉が湧き上がるシーンがあるが、宗教的背景を理解していないので、神様からの父への問いかけの返答?というくらいの見たままの感想になる。
映画の舞台が中世スウェーデンなので、生活習慣(服装、食事風景、他)宗教的背景を知らないと

この時代を描いた作品を理解することは至難の技である。




「第七の封印」
〇あらすじ
スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督が、中世ヨーロッパを舞台に人間の生と死、神の存在を問いかけた異色ドラマ。ペストがまん延する中世のヨーロッパ。長年にわたる十字軍の遠征から帰還した騎士アントニウスは、自分の後を死神が追ってきていることに気づく。死を宣告されたアントニウスは、自分の命を賭けて死神とチェス勝負をすることになるが……。主人公アントニウス役にマックス・フォン・シドー。
1957年製作/97分/スウェーデン
※映画.comから抜粋

〇感想
今回もマックス・フォン・シドーが主人公である。疲れた果てた十字軍の騎士役を演じている。
これも「処女の泉」と同じく難解な映画である。中世ヨーロッパが舞台で、多くの登場人物が出演するため、各々の役どころを把握することが難しい。また時代背景、宗教、思想の事前知識がないのでストーリーに追いつくだけでも大変である。

主人公が死神とチェスで対戦し延命するくだりは、古典落語の「死神」のような展開かと興味をそそるが、ストーリーにそれほど影響がなく、やや消化不良気味。
ただ鍛冶屋、大道芸人、騎士、などの各々のエピソードは人間の愚かさ、悲哀、郷愁を描いており

非常に魅力的であった。

魔女狩りで女性を火あぶりにする一連の話の流れは、この映画がホラー映画「マーターズ」の元ネタだったんだと今回の鑑賞で改めて気が付いた。

今回の3作品で初見は「野イチゴ」のみであったが、他の2作品でも新たな発見があり有意義な

〝テーマ鑑賞会〟(勝手にネーミング)であった。
また、巨匠イングマール・ベルイマン監督は影を上手に使う監督だと3作品を観て感じた。モノクロ映画という事もあり、感情や今後起こりうる不安、期待を陰影で表現している。更に言うなら4K、2Kデジタルリマスター版で、普通なら暗い部分が黒でつぶれて表現できなかった箇所が、デジタル処理により画面の陰影のディテールがハッキリした効果かもしれない。


俳優マックス・フォン・シドー(「エクソシスト」のメリン神父役)については高身長と彫刻のような顔つきで独自な雰囲気を出す俳優である。中世のヨーロッパの宗教色が濃い映画にはピッタリであった。またこの頃から悪魔と闘っていたことも判明した。