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〇あらすじ

歌舞伎俳優の市川海老蔵が企画・主演を務め、鶴屋南北の歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」をモチーフに、虚構と現実の境を超えた恐怖に陥る男の姿を描いたサスペンスホラー。監督は、海老蔵主演の「一命」でもメガホンをとった三池崇史。俳優の長谷川浩介は舞台「真四谷怪談」で主人公の伊右衛門役に抜てきされ、恋人でスター女優の後藤美雪と共演することになる。美雪の推薦もあって大役を射止めたにもかかわらず、共演女優との浮気を繰り返す浩介に対し、お岩を演じる美雪は嫉妬や疑心を募らせ、やがてその愛憎は舞台と現実との境界を超えていく。お岩を演じる美雪役に柴咲コウ、美雪の元カレの俳優に伊藤英明、新人女優役に中西美帆。
2014年製作/94分/PG12/日本

映画.com

 

〇感想

この映画は評価低めなのですが、個人的には好きな映画で何度か観ています。今回も観ましたが、やはりホラーの中でも秀逸な作品と改めて感じました。日本の古典的な怪談の中でも〝女の情念〟にスポットを当てて描いています。その役をもともと幽霊顔の柴咲コウが悲しみ、喜び・愛情・憎しみ・欲望が混ざり合った結果、嫉妬となる展開は野郎どもはゾッとします。ひぇーーーっ!

日本の怪談に出てくる女性は〝控えめで、大人しく、男性を立てて、主張よりも耐え忍、見た目も控えめで清楚という雰囲気で描いています。

よく女性の振る舞いを例えて「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」って言います。昔の怪談では、そのような美しい姿、感情をあの恐ろしいフォルムに変化させ、落差により人を恐怖のどん底へ突き落します。

この映画では四谷怪談の話と同じように、現代の話が進んで行きます。現代の海老蔵が四谷怪談の伊右衛門と同じく若い女性に手を出して、今の彼女の柴咲コウが、浮気の事実を知っているのに冷静に海老蔵に対応するシーンは震え上がります。女性独特の繊細な怖さが凝縮された作品です。新婚の野郎に見せると、ある程度の女性トラブルの抑止力効果が望めるかもしれません。ww

 

 

 

「修学旅行 奇怪譚2」

前回、修学旅行のイベント中に〝何かが追ってきている〟と叫んでいた4人組が、突然、助けを求めて大広に飛び込んできたところまでお話ししました。これは私自身が目撃した範囲までです。
今から話す内容は前回の後日譚です。修学旅行から約3か月が経過し、修学旅行の話題も皆がしなくなり始めた頃、夕暮れの教室で修学旅行の引率の先生から聞いた話です。

あの後、引率の先生が4人を別室に連れていき、何があったのか詳しく聞き取りをしました。4人のうちの一人の男子生徒が語り始めました。

「自宅に昔からある箱を修学旅行に行く前夜に何気なく開けました。その箱は両親や祖父から触るなとか、開けるなといった注意喚起はありませんでしたが、何となく触れてはいけない、開けてはいけないという暗黙の了解のようなものがありました。実際、その箱は家の敷地内にある小さな物置の奥に隠されていましたから……。偶然その箱を見つけてしまい、いけないとは思いつつ、その箱を開けたいという衝動にかられて、ついに開けてしまいました。しかし、開けた時には何も起こらず、正直、期待外れでした。そのまま寝て、次の日に修学旅行に参加しました。バスで移動中に席順通りに座り、他の3人と話していると急に悪寒がし、気分が悪くなりました。最後部の座席が空いていたので、そこに他の者と移動しました。頭の中で箱から何かが出てきて、それがこのバスを追ってくるイメージがしました。そうしていると他の3人も私の意識が同調し、同じイメージを抱くようになりました。なんとか宿に到着し、他の生徒に無理を言って部屋割りを変更し、4人が一つの部屋に入れるようにしました。そこで一人の霊感の強い女子がタロットカードを出して、いつも持っているお香を焚き、除霊のようなことを始めました。後で考えると、これがダメだったと思います。その何かを刺激したのかもしれません。4人全員の意識が朦朧とし始めました。
夜になり、大広間でイベントがあることは分かっていましたが、意識も体も混沌として、それどころではありませんでした。そう思っていると、自然に皆の体が動き出し、旅館を出て、裏側にある川沿いの小さな道を上りました。暫く進むと行き止まりになっており、目の前には切り立った山肌が月に照らされて微かに見えました。その時に、とうとうあの何かが現れたのです!」

と男性生徒がそう言うと急にパニックになったので、皆で何とか押さえ付けて宥めました。

 

聞き取をしていた4人の引率の先生は生徒たちの安全を守るために行動を起こしました。2人は聞き取りしていた部屋に残り、もう2人は生徒が指摘した場所へ向かうことになりました。不審者がいるかもしれないという疑念が胸をよぎります。

懐中電灯を手に、2人の先生は旅館を出ました。山の奥に建つその旅館は、川沿いにひときわ佇んでいます。暗闇の中、懐中電灯の光を頼りに進みます。左手には京都の清水寺のような旅館の柱が立ち、右手には川の音が聞こえてきます。山を登り続け、行き止まりの切り立った崖にたどり着きました。周囲を見渡すと、特に異常はありません。ただ、川の音だけが響いています。

先生が何気なく懐中電灯で崖の岩肌を下から上へ向けて照らしてゆくと、そこには無数の顔が浮かび上がっていました。無表情で、不気味な顔が岩にぼわっーーと浮かび上がっています。

「ぎゃっーーーー!」2人の先生は恐怖に駆られ、一目散に旅館に戻りました。
また、この老朽化が進んだ旅館は、私たちの修学旅行を最後に閉鎖され、取り壊されたそうです。

その話をしてくれた先生は未だにお面などを見ると、あの時の事を思い出すらしいです。終わり。