クリストファー・ノーラン監督、アカデミー賞7部門受賞の話題作

 

「オッペンハイマー」を観ました。

 

 

前半は眠気に勝てず、うつらうつらしながら観ていたので

 

よく覚えていませんが・・・

 

中盤、ついに原子爆弾を造るために

 

ニューメキシコに町を作るあたりから

 

映画に引き込まれていきました。

 

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

ついに完成した原子爆弾の実験を行う場面。

 

カウントダウンが始まり

 

科学者たちが緊張する中、炸裂する爆弾

 

巨大なキノコ雲

 

遅れてくる爆音と爆風

 

 

次の瞬間

 

実験が成功したことに

 

狂喜する科学者たち。

 

 

この場面が最も心が乱れました。

 

いや、むしろ吐き気がしました。

 

「気持ち悪い」

 

 

科学者たちは自分たちが導き出した

 

公式・数式・理論・推論が

 

正解だったこと、

 

時間をかけて臨んだ実験が

 

無事成功したことに歓喜したのでしょう。

 

 

しかしながら!

 

 

あのキノコ雲を間近で見たとき

 

この爆弾を造りだしてしまったことへの畏怖の念と

 

それが使用されることへの恐怖や罪悪感を

 

なぜ感じなかったのか・・・

 

なぜこの実験は「失敗だ」と言えなかったのか・・・

 

 

僕の祖父も祖母も父母も幸運なことに

 

広島の原爆の直接の被害にはあっていません。

 

 

しかしながら‼

 

我が故郷の広島も、妻の両親の故郷の長崎も

 

戦争を終わらせるという大義名分のためにその爆弾が使用され

 

計り知れない犠牲者を出し

 

今もなおその苦痛は癒えません。

 

 

 

映画の後半は

 

原爆を生み出した主人公の、その後の苦悩が描かれますが

 

なぜか主人公に感情移入はできませんでした。

 

 

彼が造った原子爆弾によって

 

人類の戦争の歴史は大きく変わり

 

核兵器は全世界へと拡散し

 

愚かで傲慢な政治家と浅はかで狡猾な軍人の

 

格好の「おもちゃ」と化していて

 

世界が一瞬で燃え尽きる一歩手前の危うい状況の中で

 

人は生きるしかない事態になっています。

 

 

 

世界はその後、さらに恐ろしい兵器を開発し続け

 

今もなお人々を殺戮し続けています。

 

 

 

「善悪はそれを用いる者の心の中にあり。科学者がよく使う詭弁じゃ。」

 

 

うる星やつら2「ビューティフル・ドリーマー」に出てくる言葉が

 

頭を駆け巡ります。