◆「原点回帰」「温故知新」にヒントが… | 児玉千恵子アーカイヴ

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わが国に「既製服のフィッター」を誕生させたパイオニアとして知られ
VMD改善実地指導で売れるCS空間を創る「売場の庭師」とも呼ばれている
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 海に囲まれた狭いわが国では、新たな業態が台頭すると、新しもの好きなユーザーが、一斉にそちらへと流れる傾向がある。
 今までなら「二、三ヶ月もすれば、取り戻せる…」といった声が上がったが、昨今は、そうは問屋がおろさなくなった。
 かといって、商品もサービスも同質化をたどっている現状では、対策が後手に回ってしまうと、
「濃度」の高い業態へと客足が流れたままになってしまうだろう。
 苦戦を強いられている百貨店の場合「どのターゲットを攻めていったら良いか?」という課題に終始しているケースが多い。
原点回帰にヒントが…
 先の「濃度」だが、濃度の異なる「甘い水」のそれぞれを、半透膜で仕切ったとしよう。
 すると、濃度の高い「甘い水」の方へと、濃度の低い方の「ブドウ糖」や「麦芽糖」などの溶媒が移行するだろう。顧客心理もそういった浸透圧に似かよってはいまいか?
 顧客の囲い込みを目ざしたシステムの確立は重点課題だ。が、一方で、囲い込みが容易ではない「ニッチ客」(真水に近い)の心を捉えることも、「人の輪を広げる」ためのチャレンジ策だ。
 激戦を極める時代の打開策は、つまり、顧客に支持される「顧客満足の原点」は、小売業の原点回帰にヒントが見つけられまいか?

 例えばパリの「ボン・マルシェ」を取り上げてみると、今でこそ、フランスの上流階級のマダムに愛されている百貨店だが、企業名である「ボン・マルシェ」は、“安い”という意味だそうだ。
 創業者のブシコー夫妻は、世界中で集めてきた様々な商品を、当初は「薄利多売」で展開したという。
 しかも劇場のような、華やかな売り場を、好きなだけ堪能しながら“子供から大人までが楽しめる”そんな時空間を過ごせるようにとの気くばりも忘れなかった。
 価格が明示された、ウィンドウの商品(サイレントメッセージ→ショーイング・ディスプレイ)からは、キューピットが人々の心に、情熱の矢を放ったことだろう。
 世界最初の百貨店である、「ボン・マルシェ」は、1852年に創業した。関連資料に目をやる度に、わが国にも、かつては「ボン・マルシェ」のようなエスプリの漂う百貨店がいっぱいあったとなつかしんでいる。
 いつの間にかパリのような小粋なエスプリが薄れていった。そして、アメリカからの「QR」システムに傾倒しはじめると、営業利益の追求に走り出し、坪効率の低い商品が排除された。

 結果、なくなった商品のファン層が少しづつ減っていった可能性も否定できない。…同時進行で、データの水面下にある大切なものを見抜けない「商人」も増えていったようだ。
 だとすれば、現場の生の声とデータ分析とをすり合わせた仮説を立てられる時代の寵児を育成していく必要があろう。

 多様な業態との競争や摩擦に打ち勝つには、対抗勢力を押しのけられるような、強力なマグネット力がある「売り場の再編成」も課題だ!
 百貨店には、百貨(華)の品揃えがあって、誰しもが、お買い上げ金額に関係なく、平等に「接客サービスの恩恵を受けられる業態でいて欲しいと願う人々も少なくないだろう。
 例えば、建造物の外観と内装にいやしのロマンとゴージャス感があれば、「VIPルーム」さえもいらなくなろう。
 古き良き時代の百貨店からは、「メセナ」や「フィランソロフィー」の香りも漂っていた。
 その時代を生き抜いた先輩(60才以上)たちが、各企業に少なくなったことも、「原点回帰の本質」がリアルに語られることが少ない一因だろう。
 お客さまからのご要望は、現場スタッフが、全身にあふれるほどインプットしているが、FAやフィッティングアドバイザーを交えた、仕入本部やマネジメント部門などの合流会ができる百貨店は、数えるほどしかないだろう。
 ときには、70年代から90年代のはじめにかけて、高速道路を疾走してきたかのような、先輩やOBから話を伺うのもいいだろう。
 「温故知新」の言葉は「営業力」の強化にひと役買おう!

〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
「ストアーズレポート」百貨店プロセールス資格制度フィッティングアドバイザーより抜粋
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