店頭演出の分野で、「VMDとVP」「ディスプレイとショーイング」という用語が混在しているように、「フィッティング技術」もしかりだ。
例えば、「サイズ調整と修理」「体形別補正とリフォーム」の線引きがあいまいな上に、お客様とFAを混乱させてしまうような類の「〇〇〇フィッター」が、衣料市場に広がりつつある。
また、服のパターンや工程、ゆとり(ゆるみ)を、的確な数値できちんと語れない指導や、「リメーク」色の濃い技術伝達なども、販売職を対象に実施されるなど、すべてが一緒くたになっている。そういったあやふやな解釈に、アパレルばかりではなく、百貨店業界も混乱していはしまいか。
そのような傾向は、市場に出回っているマニュアル本や、月刊誌にも登場しはじめており、「既製服では、タブーとされている、不適切なフィッティング術」や、試着時に、こんなにもピンを打たれたら、「多大な不安感を抱かせてしまいかねない」きわどい絵や解説も氾濫している。
したがって、「どれを信じて良いのか」と、思い悩んでいるFAは少なくない。
「修理費がかさみ」「再お直し」や「キャンセル」の発生率が高くなるおそれを招く出版物を見極める眼力も必要だ!
ところで、「フィッティングアドバイザー」制度では、共通の「ものさし」があるようでいて、審査以外の、講座のカリキュラムは各指定校にまかされている。現時点では、各校の風通しが良いというわけではないため、資格取得審査の中味は、限りなく無難な方向へと着地しているのではないだろうか?
また、指定校によっては、「ここまで、やらなければいけないのか?」と、目を疑ってしまうような項目もある。
例えば、昨今の売り場スタッフは、ボタン付けもできない人がいるせいか、ボタン付けの実習など他…。
技術水準をさらに高めるには、お直しを極力しないで済むような「手法とアイデア」や、「スタイリング力のバリエーション」を教えることが優先順位であろう。そうすることが、「買う側」と「売る側」との双方に、メリットをもたらすことになる。
服のエキスパートは、「余っている箇所」や、「ダブついている箇所」を、むやみやたらにつまんだりしない。その原因を突き止め最小限の「直し」に努める。
他業態との差別化を担いながら、スタートした「フィッティングアドバイザー」制度だが、巷(ちまた)にこうも様々な「フィッター」が誕生するようでは、技能力にさらなる磨きをかけ、プラスアルファの付加価値をつけなければならない。
ハイレベルなお客様は、「フィッティングのアドバイス」だけでは、既に物足りなさを感じているであろう。「服のことなら、すべておまかせ」と、胸を張って言える自信のあるスタッフを、もっと育成していくことが早急課題である。
いずれにしても、次なる課題の一押しは、フィッティングアドバイザーの一ランク上を目指した、指名が殺到するほどの「既製服のフィッター」育成の推進だ。
優秀なフィッターは、色やコーディネイト力のセンスは前提として、
① 採寸の技術は、ピカ一
② サイズ調整時に、美しいフォルムが描ける
③ 身体の特徴を、瞬時にリテラシーできる能力
④ 各パーツごとに必要なゆとり(ゆるみ)を、数値で明確に答えられる
⑤ プラス発想のスタイリングができる…などにも長けている。
また、①~⑤のフィッティング技術の原理原則は、「既製品」であろうが「オーダー」であろうが、変わることなく永遠に共通なのである。
ただ一つの違いといえば、後者は、「仮縫い」という工程があるため、「オンリーワンのマイ服」に仕上がるという満足感が得られることだ。
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
Copyright(C)2000-2008 DOMINANT LIMITED All Right Reserved.
【無断転載使用不可】
『ストアーズレポート』 2008年5月号 発売中!
百貨店プロセールス資格制度フィッティングアドバイザー
第46回
「薫風をどれだけ献上できますか?」
◇ 資格認定審査を科学する
◇ 人もブランドも育てる企業
◇ なりたいスゴ腕のFAとコーチ
【プロ販売員模試】 クールミントな集客力アップテスト