◆胸がキュンとなる「おなご」が… | 児玉千恵子アーカイヴ

児玉千恵子アーカイヴ

わが国に「既製服のフィッター」を誕生させたパイオニアとして知られ
VMD改善実地指導で売れるCS空間を創る「売場の庭師」とも呼ばれている
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 のりが効いた両腕の白いカフスが、ふわーんと宙を舞っていた。…赤いバラの花びらが、手のひらと動きを同じにして、蝶のように飛んでは消えていった。
 それは、かれこれ330回以上も続いている、「CS・サービス向上研究会」という異業種の人たちが会員となっている、勉強会を兼ねた“集い”でのシーンだった。
ワイシャツ&カフス  その日は、ビジュアル系の人気マジシャンであるH・S氏が講師を務めた。
 彼の巧みで華やかな「技」と「二枚目」ぶりを観た女性会員たちの多くは、彼が着ていたワイシャツの袖口(白いカフス)の動きにポーッと頬を染めていた。
 “たかがワイシャツ、されどワイシャツ”とは言ってられないその一パーツである「白いカフス」が、アクセントツールとして、あれほどまで主役の「エンターティナー」ぶりを際立たせてくれるとは…?
 欧米では、素肌に一番近いところにあるワイシャツは、「その人となりを表す衣」と昔から言われてきた。が、まさかそれが、余興のアトラクションで、肝のすわったマジックを引き立てる役目まで果たすとは新たな発見だ

 カラフルでバリエーション豊かなシャツが店や売り場に並ぶ昨今は、「選ぶ楽しみ」「着る楽しみ」「見る楽しみ」も増えた。 
 その昔、ワイシャツはジャケットの下に着て、はおった衣類の衿ぐりや袖口を汚さないようにする、アンダーウェア的な存在だった。
 下着としての機能性に比重を置かれていたワイシャツの語源は、白い物が主流だった頃のなごりで「ホワイトシャツ」がルーツ。
 また、衿元が「Yの字」のように見えることから、「Yシャツ」としばしば表記されていた。
 長年にわたり馴れ親しんできた「シャツ」だが、いくつかの資料をひもといてみると「上半身を覆う、ゆったりとした前あきの、襟とカフスが付いた衣服を指す。…“袖なし襟なしの下着もシャツと呼ばれる”」と定義づけされている。
 シャツには、ネクタイが締めやすい台襟つきのワイシャツと、首まわりが解放されたオープンシャツカラー(開襟)との2タイプがある。
 「下着」だったワイシャツが、ジャケットの脇役から、やがて主役を張れるおしゃれウェアーとなり、インナーの上にはおってジャケット風に着こなされるようにもなった。
 いずれにしてもアイデア次第で、シャツは主役にも脇役にも七変化できるアイテムだ。

母性愛をくすぐるのは?  環境問題を考える上で、地球の温暖化防止策の一環として展開されている軽装化のキャンペーンは、メンズ市場に恩恵をもたらしたが、とりわけメンズのシャツがクローズアップされた。
 チェックやストライプ柄、デザインはクレリックシャツ(身頃は色無地、もしくはプリント柄使いで、衿とカフスが白無地のデザイン)などが人気だが、そういった傾向は、同質化された品々が多い中での選択肢か?
 バブル景気がはじける前の「多品種、もしくは多品番」の少量生産が市場を牽引していた当時の品揃えに比べると、購入はしたものの「色・柄・素材・デザイン」への満足度が、100%に達した男たちは少ないのではないだろうか?
 ふりかえれば90年代の初めまでは、男のシャツ(特にカジュアルタイプ)は、選ぶには事欠かないほど面白い個性的なシャツが沢山あった。
 ところで当時の白シャツと言えば、「形態安定」とか「形状保持」といった、機能性や付加価値にスポットを当てた展開が目立っていた。
 そういった「シワにならないシャツ」合戦がエスカレートする一方で、「ノリの効いたシャツが懐かしい」「シワだらけのシャツが、母性愛をくすぐる」「クレープ(楊柳)シャツの洗濯後の、シャリッとした感じがたまらない」といった、ナチュラル志向の声も高まっていた。

 日本のワイシャツ人口は、他国に比べて圧倒的に多いと言われている。
 欧米や諸外国では、ワイシャツとネクタイを着用する、いわゆる「ホワイトカラー族」は人口の二~三割程度だそうだ。その二~三割の男たちが、その国の八割近くの売り上げを作っているケースにも事欠かない。
 カジュアル服に食われない「ヤマトタケル」が少しづつ増えたものの、お国柄か、まだまだ「折り目正しい」服を好む男は依然として多い。
 平面的な顔だちで「髪と瞳」が黒い男なら、カジュアルシャツの場合、ビビッドな色無地や多色づかいのシャツをチョイスすることで、ウィークポイントを上手にカバーでき、存在感も高まろう。
シャツで男は七変化  以下の①~③は、シャツを何倍も楽しむための、筆者流の「処方箋」である。
① 洋画に登場するヒーローのように、“素肌へ直に”シャツをまとう男に、胸がキュンとなる「おなご」が増えている。…(Tシャツやランニングは、湿気の多い日本向きではあるが、彼女らにはセクシーと映らないようだ)
② 「決めたいその日」は、クレリックカラーのシャツを着る!…すると、なぜか男っぷりが30%は上がること請けあい(クレリックという名の由来は、牧師『クレリック』が着る、白いスタンドカラー付きの黒い僧服から)。…そのせいかどうかは定かではないが、神々しく後光がさしているかのように見えて、OLや女子大生たちのハートをつかんでいるのか?
③ 時には「オーダーのワイシャツ」を、自分自身にプレゼントしてみる。…共布で「ネクタイ」と「ハンカチ」もあつらえると、気分はタフで粋なイタリア男風の「シャツ美男子」に!
 是非、お試しを…。

                              白いレギュラーカラーのワイシャツで         

                                       ウィングカラー風に楽しむ(STYLING:C.KODAMA)

〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
(月刊『中小企業と組合』「ダンディズムの引き出し Hide of Dandyism」より)

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