◆日本のフィレンツェか? ~2~ | 児玉千恵子アーカイヴ

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わが国に「既製服のフィッター」を誕生させたパイオニアとして知られ
VMD改善実地指導で売れるCS空間を創る「売場の庭師」とも呼ばれている
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 (12/12からのつづき)

 その昔から、皮革産業が栄える風土には、豊富な水が流れる「川」があった。
 昨今のように、皮をクロムや植物タンニンで鞣(なめ)したり、スティーキングマシン(革伸ばし機)が普及していなかった時代に、上等な革を作るには上質な水と体力が必要だった。
 原皮を川に漬けると、水中のバクテリア(ケジマ菌)の作用により、毛根が広がり毛皮から毛が抜けやすくなるという知恵を心得ていた。
 そういったデリケートな工程は、工房に近い立地に、川が流れていることが前提条件だったようだ。
 当時の職人たちにとっては、「革」は「皮」、そして「川」が欠かせない必需品だったのだ。
 格調高いデザインの革製品を創り上げるには、それなりの美意識とセンスも持ち合わせていなければならない。
 つまり、背景に、文化遺産となるような建造物や環境があれば、感性が磨かれ、自ずと人々の心を魅了できるような作品が生まれるのだろう。
フィレンツェ
 西播磨(兵庫県・姫路市の西部)を流れるのが清らかな市川なら、フィレンツェの街中を流れる川は、アルノ川…。
 「皮革産業」で有名な地区や腕の良い「タンナー」は、ドイツやフランスにも存在するし、それら以外の諸外国にもある。上質な水と空気、そして穏やかな天候に恵まれたところは栄えてきたようだ。          フィレンツェ アルノ川
フィレンツェ  もしも播磨の「手仕事人」と、フィレンツェの「技術職人」たちが技を競い合ったら、きっと甲乙をつけ難いだろう。
 ただ一つの違いと言えば、我が国の手仕事人たちは、手を動かしていようがいまいが、寡黙な人が多く、フィレンツェの職人たちは、お国柄のせいか手を動かしながらの会話も弾む。
 彼らのケースでなくても、イタリア人は本当に話好きで、食事中も、たえず話しっぱなしのことが多い。
 山中をバスで案内してもらったときに、運転手がハンドルを握っている間中、ずっーとおしゃべりを続けていた(しかも、下り坂が続いている山道を、後ろを何度もふり返り…)という恐い経験をしたことがある。
(次回につづく)
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
(日本繊維新聞『ファッショントーク』より)

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