「昔はトレンチ、バブル期ブルゾン、今どきはジーンズ…姿」とは、熟女たちが勝手に考える、イイ男の代名詞!
晩秋の雨が降りしきる街中を、無造作に着込んだコートの衿を立て(できれば…トレンチコート)、両手をポケットに突っ込み歩いていく男の後ろ姿を…見てみたい! が、気ぜわしい昨今では、所詮スクリーンの中での光景か?
かたや、コートを着てソフト・ハット(中折帽)をかぶった殿方が、背中に哀愁でも漂わせて立っていようものなら、「胸がキュン」となるウブな「おなご」になど、近年はめったにお目にかかれまい!
「高校三年生…舟木一夫さんが今も歌っている」を聞いて育った、団塊世代の長男・長女の多くは、甘ずっぱい「フォークダンス」のメロディーが流れてきただけでも、頬を染めたほどの奥手な青春だった。はなから「コートの哀愁」だのとうんぬんとのたまう私は若くないとすぐにバレてしまおう。
殿方にとって、なじみのコートといえば「ステン・カラーコート」。…着る男を選ばないそれは、かつては、ビジネスマンはもちろんのこと学生にも愛されたものだが、近頃はキャンパスではとんと見かけなくなった。
「オーバーコート」「レインコート」「ダスターコート」と言えば多くの人々が慣れ親しんでいる「三大コート」だが、それぞれを、「防寒・防水・防塵」というふうに和訳してみると、あらためて、それらの機能や恩恵を見直すことができよう。
少子化が進み、生活環境に恵まれている現代社会では、「しもやけ・あかぎれ」という名称すら知らない子供たちが増えた。大人たちは、一年中適温の室内にいて、その上車社会だから、芯から身体が冷えきってしまうなどあまりない。したがって、長時間の外出や、寒い国への出張とか、旅行以外はコートの出番が昔ほどではなくなった。
とはいえ、縦に細長い日本列島の温度差は激しい。東京の男たちが薄手のウールコートを必要としている頃、北国ではダウン入りや厚手の紡毛コート、反対に沖縄では、スーツにマフラー程度で外出している構図となる。
また、人によってはコートを着るのが「うざったく、スマートでない」と言う。
このところ、メンズ服のシルエットも、レディスと同様に「ゆとり」が少ない細身のタイプが主流で、メンズアダルトのコートにまでその影響が及んでいる。そういった一因も、本来は「袖通りの良さ」が売り物だったコートが、窮屈なことこの上ないアイテムと思われているようだ。
ところで、コートを選ぶときは、「胸囲と身長」とのバランスをよく見定めてから購入するのがおすすめだ。
コートは通常、チェスト(成人男性の胸囲)に対して、20㎝~30㎝のゆとり(ゆるみ)が入っていると「着心地が良い」ものだが、市場に展開されている今秋冬物は、ピタピタルックの流れをくんだフォルムの服が多いから、「売り手側」の提案に流されないよう、自分好みを貫いてみてはどうだろう?
つまり自分にとって、もっとも着心地の良い「ゆるみ加減」、衿から裾へと流れる「美しいライン」…そして、「ほんの少しの重さ」も、防寒用にはずせないポイント(あまりにも軽いと、スースーした感じがすることも)となる。 (次回へつづく)
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
(月刊『中小企業と組合』「ダンディズムの引き出し Hide of Dandyism」より)
【無断転載使用不可】
Copyright(C)2007 DOMINANT LIMITED All Right Reserved.