デパ地下の試食食べ歩きって、けっこうおなかを膨らせることが出来るもんなんですよ。


いつかのクレヨンしんちゃんで、金がなくなったので近くのデパートで試食をしてなんとか夕食を済ましちゃおうなんていう北朝鮮国民もびっくり(試食があることに対して)のまさかの節約生活をしているわけではありませんが、試食して回るのは僕好きですよ。

まぁとりあえずあるものはなんでも口にしてみます。この間スーパーへ行ったときなんか別にすきでもない、むしろちょっと敬遠していたはずの枝豆をほおばってみたところ、その皮がするりとむけ豆は程よくやわらかく歯ごたえと香りが残る湯で加減に、豆本来の味を引き立てるだけの分量でふりかけられた塩加減に感動、何なんだこの枝豆はァーッ!と思ったらただの冷凍食品だったという驚きの発見などがあるため、試食はやめられないのです。


試食することにまだ目覚めていなかった小学六年生の夏。僕は釣りをしに小学生の足では遠い地まで友達と二人でやってきていました。

小学生ということで、おこづかいは少なく、その日持っていった全財産も昼食代300円と行き帰りの交通費のみだったので、釣りも終わってひと段落、さー家に変えるかって時にちょっと小腹がすいたのでマックでも行ってハンバーガーでも買うかという余裕はなんてなかったのです。しかも昼食もコンビニで買った食パンと飲み物だけ。あわせてだいたい300円であとに残しておこうという気にもならず、食べ切れなかったパンもどんどんと寄ってくるのが面白いので鳩にあげちゃったし・・・

その釣り場の近くには割合大きなデパートがありました。そこでいいアイデアがひらめいたのです。「デパ地下で試食してから帰ろう。」という小学生の頭の割にはなんとも画期的なアイデアでした。

さっそくデパ地下に行ってみるとそこには大勢の人だかりが。週末の夕方過ぎということで、夕飯に何かお惣菜を買おうとかそんな考えを持った主婦たちでぼった返していました。僕らは小さい体を人の網目を掻い潜って試食が入っているはずのタッパーを探していました。釣り帰りなので体中から魚やらえさやらの臭いが立ち込めていまして、夕飯をデパートで済まそうとしているセレブリティーなマダムたちは僕らのその半袖半ズボンに釣竿をかついでバケツを手に持った野性的な格好を見て冷たい視線を浴びせてきます。しかし気にしない、腹減ったから。

ようやく見つけた試食と思われるタッパー。ふたをあけてみるとホタテの貝柱のボイルのようなものが入っていました。僕らはそれをがつがつと口の中へ運び・・・

んまァーいッ!!

小学生のホタテなんてもったいないと思う・・・それはわかる、すげーわかるけどでも僕らはめちゃくちゃ腹が減ってるんだよォー!と思ってタッパーに入っていたホタテ完食。さて次へ行くか、と思った瞬間お店のおじさんが出てきたのです。

「コルァーガキャーッ!!」

怒られる意味がわからない。僕らは見た目でわかるでしょうけど、まぁ小学生ですよ。しかも近くの川から釣りをしたばっかりで工業排水か流れてちょっと臭ったりする川に数時間いた僕らですよ。そりゃTシャツとかにその臭いがその臭いがしみこんで商売の邪魔になるかもしれませんよ。でも僕らが客、そういう考えは出来ませんか?こんな野性的な格好、夕飯はもっぱらお父さんが取ってきたマンモスの輪切りです!みたいなことを言っても何一つおかしくないかもしれませんよ。でももしかしたら、もしかしたら今日はお父さん頑張っちゃうよー!ほら!nebe!このお金もってデパートに行っておいしそうなホタテ買って来い!とか言われておつかいに来ただけの小学生かもしれませんよ?ホタテも見極めをしているのかもしれませんよ?それなのになんなのおじさん。このおいしさなら買ってあげてもかまわないよ、それなら文句ないだろ?ん?


まぁ買いませんでしたけど。


そして逃げ出す僕ら。うまく踏ん張れないビーチサンダルを手に持って素足で来た道を走ってエレベーターに乗ってなんとかおじさんから逃げ切った僕ら。そのスリル感はまさにホームレスのダンボールハウスにコンコンとノックして逃げ出すような、まぁ同じことだな。

それゆえ僕は試食が好きなのです。たいがいウチの母よりおいしいものを試食に出しているので味の面でもかなり満足!明日はあなたの町のデパートに僕が現れるかもしれません・・・
何もかわんねぇ・・・いつもと、二学期と・・・


そんな無気力が積み重なって数日間更新せずでした。たとえばね、夏休みといったらみんななぜかはじけるじゃないですか。それはもう、戦国乱世の戦いでも起きていたのかのような夏休み明けのルックスの変わりようとか、いままで何もしゃべらずに教室の隅っこのほうで本を読んでいたあいつがいきなりエロに目覚めて今ではいじられキャラに躍進!と、心まで変わることもあるのに冬休み明けって何もわかってないじゃないですか。

そりゃね、夏休みよりかはね日数が少なくてちょっと一歩踏み出すのには時間が足りなかったりするかもしれないじゃないですか。でもね、人が一歩何かに乗り出すためには時間が足りないとかそんな言い訳するもんじゃないと思うわけなんですよ。たとえば、いとしの彼女がマフィアに拉致された!僕一人の力じゃまったく通じるわけがないけど・・・彼女は取り戻したい!どうするどうする!というときに、最初から計画を立てまくって完全なプランニングをして、さぁいざアジトへ!というときにはもうアジトは移動していてもうおしまい。みたいなね、そんなんだったら何も考えずに彼女のためだけを思ってアジトへつっこんじゃえばいいんですよ。何が起こるかはもうしったこっちゃねー、みたいな精神で。


まぁそれは行き過ぎた考えでして、まぁ正月はアレですよね。コタツから出られないのがそのあと一歩踏み出すところまでいかない理由じゃないでしょうか。そんなコタツはウチには一つしかないため、別にいつもの休日と変わらない正月を過ごしてたためでしょうか、変化がないと思っているのは僕だけが思っているというわけですか。

変わらない日常、流れ行く時の中で僕らは受験という戦争に向かってまた一歩ずつ前進しはじめたのです・・・受験まであと1年!(以内)学校はそんな欝なことを考えさせられるところなのです・・・と学校生活12年目突入と同時に悟った僕なのでした・・・
年賀状は書かないとこないと思っていたけど、書いても来ませんでした。返事くらい出してくれよ・・・おい・・・寂しいじゃねーかよおい・・・


まぁ今回の冬休みはなんといっても一人で田舎へ帰省したことからはじまりましたね。はじめのうちは、あんな遠くのかなたに一人で行くの?え?冗談でしょ・・・みんななんだかんだで来るんでしょ・・・?みたいな期待を寄せていましたけど、結局一人で新幹線の座席について、家族旅行をするご一行みたいな方たちが隣になったおかげで僕はとっても気まずく、思わず「おれよあんたのこと・・・・・・『ジョースターさん』・・・・・・て呼ばしてもらうよ」といいたくなるような気まずさで、このあと透明な赤ちゃんが現れない限りどうにも関係がうまくいかないみたいな妙に僕だけ浮き出たような感覚に陥って、なんだかトイレ行くのも気まずい、お菓子食べるのも気まずい、どうすればこの最悪の状況を抜け出せるのかと思わせるような新幹線内でした。

田舎では、まぁ久々に会うということでなんとなく他人行儀なところもありましたが、おばあちゃんが一緒にガキ使を見てくれて、本当は紅白歌合戦のほうが見たかったんだろうけど、でもあの面白さがわかってくれたみたいでとてもよかったです。正月らしいことは初詣くらいしかそこではしなかったけど、心洗われた気がしました。おじいちゃんは方言が強い人なのであまり話せませんでした・・・何言ってたんだろう・・・てきとうに相槌打ってたけど・・・


東京に帰ってきたら、なんだか脱力しちゃいました。なんだか「いつも」に戻ってくる。何も変わらない「日常」、変わったものは食事に使われるお箸がいつもと違うお正月バージョンになっていたこと。合宿とか修学旅行でも思ったな、東京に帰る直前になって襲ってくる、「いつもの日常が戻ってくる」という恐怖感みたいなもの。普通に過ごしている「日常」は別に大したことないんだけど、いつもと違うことしている間って「日常」を忘れて楽しんでるじゃないですか。楽しんでいるのに、あと数時間でいつもの何もない、何の刺激もない生活に戻るんだと思うとすごい嫌になって泣きたくなる。今日もそう。別に楽しかったわけじゃないけど冬休みってなんだか時間がゆっくり動いている気がするじゃないですか。正月のあのぬくぬくした雰囲気が僕は好きなんですよ。家じゃなかなかそういう雰囲気にはならないけど、テレビとかで出演してる人が着物着てたり、新春なんとかスペシャルとか言ってるだけでその雰囲気が楽しめるわけで、それは日本が古来から大事にしている年はじめのイベントがあったからこそ、そのようなことが起きているわけで。日本っていいなやっぱり。

来年は受験シーズン真っ盛りの正月を迎えると思う。大学に入ったらもっと家にいられなくなるなと思うと、これが最後のちゃんとした正月なんだと思うとなんだかすごい寂しい気分になってしまいます。年を重ねるということはうれしいことでもあり、悲しいことでもあります。それを実感させてくれた今回の冬休み、みなさんはどうお過ごしでしたでしょうか。