◼️悠真視点◼️
クリニックを出てから、駅前のドラッグストアで禁煙パッチを購入して、志保ちゃんが『食べたい🎵』って言った堅苦しくない感じの和食懐石のお店に入った。
『お煙草は?…喫煙専用室もございます(笑)』
店の人に聞かれて、志保ちゃんは固まる…(笑)
「(フフッ…)禁煙席でお願いします」
俺がそう答えると、ホッとしたような‥残念そうな顔をした。
俺の前で吸うなんて、言語道断だ
「和風なのが好きなのか?」
「友達とだと、こういうトコはまず選ばないですからぁ…けど、こっち系も意外と好きなんです」そりゃそうだ。
ファーストフードだの、パスタだの、そんな感じか…(笑)
半個室の席に案内され、購入した禁煙パッチの説明書を読みながら、懐石セットを待っていると、「あのぉ……!教えて下さい。『俺は怒ったら怖いよ』の意味…気になってぇ‥怖くてぇ‥」
志保ちゃんがそう言うので、説明書を置いて、
ジィッと見つめた。
「志保ちゃん、親御さんは?どんな感じの人?」
「親ぁ?……ママよりもぉ、パパが厳しいですぅ…子供の頃は、よくパパに叱られてました(笑)」
「そっか。ウチと似てるかな?。ウチの母さんは‥結ちゃんに似てる(笑)ま、叱りはするけど、厳しくはないな…母さんに小言をもらった後の父さんが怖かったな。全部、父さんに報告がいくから。それに加えて、兄貴も怖かった(笑)そんな父さんや兄貴の中で育ったから、曲がった事、いけない事は許さないし、叱る」
「し…かるぅ?」
「そう。ま、ここから先は…(笑)叱られるような事をしなかったら、知る必要はない」
(知る事になるのも時間の問題だと思うけどな)
「(ぶぅ…)答えになってません~だ」
「ぇっ?(笑)何?叱られたいのか?」
「違いますぅ…💧もぅ…」
「心配しなくていい。叱る時にはちゃんと叱ってやるよ(笑)それまでいい子にしてなさい。
それよりも……この『エビとじゅんさいのゼリー寄せ』手、付けてないけど?」
「ぇと…(笑) ちょっと食べられないかな‥?」
「……エビアレルギー?なら仕方ないけど」
「……いぇ…💧苦手で‥じゅんさいが…(笑)」
「じゅんさいの何が?」
「トゥルトゥルしてる見た目…💧」
志保ちゃんがゼリー寄せの盛り付けられた器を指でクルクル回しながら言う。
「食わず嫌いか…(笑)お品書きにセット内容載ってるのに、食べられないなら何故注文する?」
「だぁってぇ……」
「だってじゃない。食わず嫌いなら、一口でも食べなさい。お父さんから、『食べ物を粗末にするな』って教えられなかった?」
「ぅん…叱られてた…食わず嫌いが多いから」
「俺もお父さんと同じ。食べてみた事も無いのに嫌いって言うなんて許さない。そう言うのはきっちり叱るけど?今、叱られたいの?」
「(フルフル)やだ…💧食べる…💧」
志保ちゃんはゼリー寄せを一口掬って、口に入れた。(モグモグモグモグ…)
「ぁ、あれ?トゥルトゥル、あまりわからない…お出汁も利いてて、エビも甘い🎵(笑)じゅんさい、しゃくしゃくして美味しぃ🎵」
「ほら、食べれた☺️確かにこのトゥルトゥルが苦手な人は多い。だから、お出汁を利かせて、ゼリー寄せにしてあるんだと思うよ」
志保ちゃんはゼリー寄せを『美味しい🎵スゴく美味しい🎵』と言って完食した(笑)
食わず嫌いなんて、こんなもんだよ😁
「志保ちゃん?気になるみたいだから、教えてあげようか?」
「は、い……?」
「俺の父さんと兄貴は怖いって話したよな?
今でこそ、父さんは兄貴んとこの駿に甘々だけど、俺達が子供の頃はそりゃ、怖い父さんだった。兄貴よりヤンチャだった俺は、兄貴の倍はケツひっぱたかれてたと思う(笑)」
「……ぇ…ケ、ツ…💧お尻?叩く?」
「『悪さをした→やっちゃいけない事だとお説教する→反省の為にお尻を叩く』絶対そのやり方だった。今の世の中、体罰だとかDVだとか言うけど、父さんはそれとは違う。
人間として生きていく為の教育だったと思う。
体罰やDVは与える側の感情が1番先にあって、それを発散させるためにしてしまう事で、父さんはその時の感情で叩いたりしなかった。よく『何が悪かったか、わかってからがお仕置きだ』って言ってたな…(笑)
そんな父さんに育てられたから、友達であれ、何であれ、悪い事は悪いって言うし、前に付き合ってた彼女にも何度かお仕置きもした。その時も今も、それが嫌なら離れていってくれていいって思ってる。
兄貴も同じ考えだから、結ちゃんはきっと大変だと思うよ(笑)」
「1度、結さんが正座してるの見た時も…?」
「あぁ、きっと兄貴の事だから、正座なんかじゃ終わらないと思うな(笑)ダイエットだった?その時は?」
「はい……お家で倒れちゃったって言ってました。ゴハンも『食べた』って言ってろくに食べてなかったみたいで……
朝礼で『みんなも間違った方法でダイエットなんかしたら許さないからね!』ってスゴい怖い航一先生でした…💧」
「兄貴は自分自身を大切にしないような行為は、絶対許さないからね…(笑)
こんな話した事、結ちゃんには内緒だよ」
「はい…💧もちろん。絶対話せませんよ…」
「とにかく、俺も兄貴と同じで叱る時はちゃんと叱る。それが志保ちゃんの考えと合わないんなら、そう言ってくれていい。それまでだったってだけ。だけど、今はっきり言えるのは、『志保ちゃんを放っときたくない』って事。
それから、志保ちゃんに今日きっちりしてほしい事がある。何かわかる?」
「(フルフル)わかりません…💧」
「それはね、『禁煙宣言』!絶対吸わないって約束してほしい。煙草に逃げそうになった時は、連絡くれたらいい。大学に行ってる時は、話せない時もあるけど、なるべく時間を作るから、辛い時は連絡して。この禁煙パッチと、俺に吐き出す事で煙草を止めよ?何でも聞くから」
「悠真先生…💧なんで私なんかにそんなに一生懸命になってくれるんですか?…うれしいです…」
「志保ちゃんを放っとかないって決めたから。
それじゃ不満? それから、2人の時は『先生』は禁止!わかった?志保?(笑)」
「(グズ…)はひ…ありがとうございますぅ…悠真先生…あっ…ごめんなさいぃ…💧」
「フフフ(笑)こぉらっ!(笑)」
「エヘヘ(笑)私も、結さんみたいにお尻叩かれないように、頑張らなくっちゃ😁ねぇ❤️ん~…悠真さん?悠ちゃん?悠真君?違うな…💧年上だしなぁ…」
「(笑)何でもいいよ…💧」
「……じゃ、『悠ちゃん』!(笑)」
「……ブッ!よりによって結ちゃんと同じ呼び方とはね…似た者同士(笑)」
2人でひとしきり笑って、店を後にした。
志保が禁煙宣言を破ってお仕置きされる時が来るのか……それがわかるのはもう少し先か?
この後、2人はどうなっていくのか…
それがわかるのはもう少しの少し先のお話…。
☆おしまい☆