あなたは、「いのちのはじまり」を身体で感じたことがありますか。
たとえば、我が子がこの世界に生まれてきてくれた瞬間。
小さな産声をあげた赤ちゃんを抱きしめたとき、胸いっぱいに広がった、あのあたたかさ。
「生まれてきてくれて、ありがとう」と涙があふれた、あの震えるような感覚。
あるいは、大自然の中で朝日を浴びたとき。
言葉にはならないけれど、胸の奥がじんわりとほどけていくような感覚。
きっと誰の中にも、そんな「いのちの原点」と呼べる記憶があります。
けれど、忙しい日々や社会のリズムの中で、私たちはいつしかその感覚を忘れ、心や身体を固くしてしまいます。
だからこそ今、もう一度その原点へ還る時が来ているのではないか。
そんな想いが、この春から私の中で静かに育ちはじめました。
「センス・オブ・ルル」という感覚
今年の春分から夏至にかけて、私は不思議な感覚と出会いました。
後になって、その感覚を私は
「センス・オブ・ルル(Sense of Lulu)」
と呼びたくなりました。
それは、私たちが本来持っている「いのちの輝き」を思い出す感覚。
自然と溶け合い、身体の奥から目覚めてくる、やさしくて力強い生命感です。
春分、押戸石の丘で
物語は、まだ風の冷たい春分の日から始まりました。
野焼きを終えた阿蘇の大地。
茶色と黒の世界が広がる押戸石の丘。
裸足でその大地に立つと、冷たい風とは対照的に、足の裏だけがじんわりと温かくなっていきました。
目を閉じると、不思議なことに天草の海を泳ぐクジラやイルカのバイブレーションを感じたのです。
その瞬間、六月に着ようと思っていた白いワンピースを、海のような藍色に染めたいという衝動が湧き上がりました。
帰宅してすぐ、新月の日。
藍染工房で何度も布を染液にくぐらせ、ゆっくりと裾に海のグラデーションを重ねていきました。
あの時、大地から受け取ったエネルギーが、一枚の衣となって形になっていく喜びを感じました。
夏至、いのちの祝祭
そして迎えた夏至の前日。
益城町で開かれた「いのちの祝祭」。
仲間たちと歌い、踊り、響き合う時間の中で感じたのは、
いのちの歓びは、一人で完成するものではなく、誰かと響き合い、育み合う中で自然にあふれ出すものだということでした。
心の奥に、やさしい火が灯っていくのを感じました。
翌日の夏至。
再び押戸石の丘で、巨大な太陽石を囲み、地球への祈りを捧げていました。
梅雨空だった空に、ふいに太陽が姿を現します。
そして、その周りには大きな光の輪。
日輪(ハロ)。
まるで自然からの返歌のように。
あの瞬間、個と自然の境界はなくなり、私たちは大地と空と風とひとつになっていました。
その後、みんなで踊ったフラも、歌声も、風も、すべてが同じ呼吸の中にありました。
「ルル」がつないでくれたもの
そんな余韻の中で、ふと息子の好きなMrs. GREEN APPLEの『lulu』を思い出しました。
「帰りたい場所がある
誰もがこの星の子孫 ♬」
その歌を改めて聴いたとき、不思議なくらい、二十年前に息子を抱きしめた日の記憶がよみがえりました。
そして、阿蘇で感じた地球への祈りと、母として感じたいのちの歓びが、一つにつながったのです。
さらに後から知ったことがあります。
古代シュメール神話では、「ルル(Lulu)」とは、最初に創られた人間、そして「輝く者」を意味する言葉だということ。
偶然なのか、必然なのか。
私には、この春分から夏至までの旅が、その言葉へ導いてくれていたように感じられました。
センス・オブ・ルル
私にとって「センス・オブ・ルル」とは、
自然と響き合いながら、自分の身体を澄ませ、いのちの声を思い出していく感覚です。
大自然の中で感性をひらく、新しい発見。
そして日々の暮らしの中で身体を整える習慣。
世界に対して心が開く感性、センス・オブ・ワンダーと
自分の内側にある"はじまりの記憶"と再びつながる感覚、センス・オブ・ルル
その二つが循環するとき、人は自然とも、人とも、自分自身とも、もう一度響き合い始める。
そんな【非日常のリトリート】と【日常の身体習慣】を循環させる場を、これから少しずつ育てていきたい、そんな想いが湧いてきました。
いのちの歓びのギフト
クジラやイルカが広い海で遠く離れていても、エコロケーションで響き合うように、
私たちもまた、本来は目に見えないところでつながり合っている存在なのかもしれません。
一人ひとりの内なる星が輝き、その光が響き合うことで、家庭も、地域も、この地球も、少しずつあたたかくなっていく。
「センス・オブ・ルル」は、そのことを思い出すための、小さな旅の名前です。
どうか皆さんの心の中にも、あの日、阿蘇の空に広がった太陽の光の輪のような、あたたかな安心と歓びが広がっていきますように。
そして、この新しい物語を、ゆっくりと見守っていただけたら嬉しいです。










