不甲斐ない自分を思って
何となく釈然としなまま取り繕って
今はこうだけどきっと未来は
そう思うのは
きっと大きな勘違いなのだ。
だけど、繰り返してしまうのだ
だって 毎日は
笑って過すべきうたかたで
だって 未来のことは
なにも知らない今だもの
不甲斐ない自分を思って
何となく釈然としなまま取り繕って
今はこうだけどきっと未来は
そう思うのは
きっと大きな勘違いなのだ。
だけど、繰り返してしまうのだ
だって 毎日は
笑って過すべきうたかたで
だって 未来のことは
なにも知らない今だもの
高校の時の体育の時間
先生の名前はマキちゃん
若くて元気なマキちゃんは女の子から人気
「マキちゃんは彼氏いるの?」
っていうお決まりの質問
「いるよ」
さっぱりとした返事
「彼氏さん、格好いい?」
「うん、格好いいよ」
そして確か私たちは
軽く沈黙
あちこちで聞きなれた質問の割に
初めて耳にした答えは
あまりにカッコいいや
マキちゃんは、日々はしゃぐばかりの高校生に向かって
付け足した
「自分が大事にしている人のこと、格好いいって言うの
とても自然なことだと思うんだ」
とびきり美人だったわけではない
スタイルがいいわけでもない
体育の先生
そんなマキちゃんが
一人の女性として
ものすごく素敵だった
綺麗な人
そう 思った
いつか同じ質問をされたら
マキちゃんのように答えたい
凛として
そんな10年前の思いを
お庭で寝ころびながら
フト思い出した日
マキちゃん、
心にずっと残っているセリフ
私も使っています
空気の匂いとか
風の柔らかさとか
夕暮れの感じ
それから私の食欲も
ハワイにだって秋があると主張する
北海道と違って
秋の夜でも十分暖かいハワイの秋
できることなら心地よいマノアの風の吹く中
毎晩お散歩がしたいけど
一人の時はやっぱりちょっと怖い
試行錯誤の末
最近見つけたベストスポットは
家の庭にある大きなトランポリンの上
月が隠れた暗い空
ウキウキする量の星
息を呑む 帯のついた流れ星
そんなゴージャスなサプライズの正体は
オリオン座流星群
ピークは昨日
あぁ、そういうことか。
昨日、お気に入りのビーチで見た
空を覆った雲の隙間を抜けた不思議な強い光
流れ星だって信じられなくて
建ち並んでいる豪邸から出た何かの光だって。
そんな無駄なこじつけ
しなくてよかったんだ
明日もいざ、トランポリン。
マノア、雨降らせないでね。
先日、私が通っているハラウのクムフラがお誕生日を迎えるということで
皆でサプライズパーティー
たくさん並んだ、愛情いっぱい手の込んだ料理からいい匂い。
おめでとうのハグをクムにすると、首にかけたレイからホワイトジンジャーの甘い香り。
このハラウではよく、皆が手をつないで輪になって、お祈りをする。
パフォーマンスをするステージのことや
恵みの感謝
そして、今回はもちろんクムのこと
目を閉じて、右手でさっきまで走り回っていたケイキちゃんの
じんわり熱くなった手を握る
左手には、まだ入ったばかりの私にいつも色々優しく教えてくれるおばさんの大きな手
皆で作った、大きな輪
クムにとびきりのおめでとうのお祈りと感謝の言葉。
ハラウでいつも歌うハワイ語の歌。
もう一度、クプナさんがハラウとクムのためにお祈り。
誰かが、誰かへの感謝や幸せのために紡いだ言葉を聞くのは
本当に心地がよくて、気持も温かくなる
目を開けると、クムが涙をぬぐっていた。
誰かが、感動している姿を見るのもまた
とても温かい気持ちになる
軽いシャワーが降る中、空に現れた大きな虹を見ながら歩いていたら
突然視界に入った道路を横切る足元の虹。
か細くて頼りない淡い光だけれど
こんなおしゃれな道、たまらない。
小さなころ、登場人物が虹の上を歩いたり、滑って遊ぶアニメを見て
憧れたっけ。
十何年も経って、突然現れた夢を叶えるチャンスは
追っても追っても逃げていく追いかけっこになり敢え無く失敗。
こんな風に、Manoaの虹は結構おちゃめだ。
そう言えば、初めてホストマザーのサリーが今の家に連れてきてくれた時
ちょうどそれは夕方で、大きな虹がでていたんだっけ。
11月の真っ赤な夕日に空は赤く染まっていて、
赤く色づいた雲の隣で、虹も赤味が強い帯になっていた。
それ以来、赤い虹なんて見ていないし
今となっては自分のその記憶すら信じられないけれど
私はあの時確かに、サリーに
「あの虹、すごく赤くてきれいだね。私、この場所にとっても住みたいよ」
って、言ったんだ。