歓迎会から
1週間ぐらいたった頃、

由衣ちゃんが
有給休暇で何日か休んでいた。




ボクはこの時、
気にも止めていなかった。
まだそんなに仲良くなかったし、

何より卒論の追い込みに
必死だったからかもしれない。




























あの頃は
その時付き合っていた彼女が
一人暮らしだったので、

百貨店やバーテンダーの
アルバイトが終わった後や
飲み会の後など……

彼女のマンションに転がり込み、
半同棲のような生活をしていた。



彼女は美世。
とてもマジメな女子で、
ボクとは違う学部で
経営学部だ。


授業や部活、バイト以外は
ほとんど家にいるような
これまた
ボクとは正反対のタイプだ。


特に友達づきあいも広くなく、
合コンなんて誘われたとしても
もちろん行かない。




「別に合コン行っても
オレはホント気にしないから
行って来なよ



もっと友達と
遊びに行けばいいのに?」




「ううん、ワタシいいよ。
おウチが好きだし..........



それに..........
リュウに
“おかえり”
って言ってあげるのが
一番好きだから」






























そう……
いつも彼女は
ボクを待っていてくれた。


だから、
いつも彼女のマンションに
帰っていた。





























ボクは元来縛られるのが
好きではないらしい。

テキトーな距離感が
好きなんだと思う。

〝わがまま〟と言われれば
その通りだと思う...........


誤解を恐れずに言うならば

『フィフティ・フィフティ』

……を望んでいるんだと。




各々(おのおの)の生き方や
やりたい事を大事にして
〝好き〟というところで
繋がっていれば、
いいのかなと……



自分の〝好き〟という気持ちを
一方的にぶつけられ..........

「私はこれだけあなたの事が
好き……」

と、〝好き〟を押し売りされると
どうしてか疎ましく
思えてしまう時がある。

どんなに相手の事が
好きだとしても………





























ある時、
美世のマンションで
ゼクシィを見つけた...........





























「ウチの彼女さぁ、
オレとの結婚を
考えていると思う?」



「あの彼女だったら、
そりゃ絶対考えてんだろう」









親友の智と
飲んでいる時に
聞いてみた。








「やっぱぁ.............

こないださぁ
彼女の家でゼクシィを
見つけちゃったんだよね...........」



「はは、確定ツモだなぁそりゃ」


「でもさぁ、
オレさぁ................
こんなヤツだろ?


オレなんかでいいのかなぁ、
実際さぁ」



「でも本人から
はっきりと言われたわけ
じゃないだろ?」



「美世は
ゼッタイ自分からは
言わないよ



たぶんだけど.........
オレが言うまで
待ってると思うんだよね


きっと、言うまでさ.............」



「そっか............

で、どうするんだ?」






























「見つけて以来、
美世のマンションに
行ってない...........

ちょっと避けてるかも、
オレ...............」



「でた!?
サイテー男(笑)」



「ホントに...............、
最低だよ、オレ」






























今日も自分の家に
帰っていた。





そう言えば、
由衣ちゃんも
今日は出勤していた。

ただ、心なしか
元気がなかった気がした。

いや、いつも以上に
元気なんだけど、

それがかえって
無理しているようにも見えた。










そんな酔いざましに
物思いにふけている時、

ふいに電話が鳴った。