動かないタイミング | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

演奏会の進行をスムーズにいくようにお手伝いするのがスタッフの役目の一つですが、慣れていて次に何をすべきか流れをわかっている、あるいは慣れずにいてやみくもに頑張って行動することに「ちょっと待って!」と思う瞬間が多く見受けられます。


次の動きを予測できることはいいことですが、そのタイミングは本当にベストタイミングなのかを常に計算しながら動かなくてはなりません。


開演直前・直後(休憩後も開演です)

曲と曲の間

途中入場のご案内が無事済んだ後

etc


つまり、客席の扉は閉まっているものの、演奏してない(音が鳴っていない)時間です。ご案内や扉を閉めるのを終えて、ほっとして、即、お客様にお座り戴いていた椅子を片付けにかかったり、どこか別のポジションに向かったり、ということはありませんか?


これらのタイミングは、まだ何が起こるかわからない状況です。まだ遅れて見えるお客様がいらっしゃるかもしれない、客席から出てこられるお客様がいらっしゃるかもしれない、スタッフ間でこのタイミングに何か伝達し、動く必要があるかもしれない・・・という、ほっとしている場合ではない本来ならば緊張が走る時間なのです。


そして、それだけではありません。足音や備品を動かす音、外回りの扉の開閉の音などは、静まり返った客席に響いたりすることも考慮が必要です。私語なんてもってのほかです。


では、動き出すのはいつか、書くまでもないこととは思いますが、演奏が始まりある程度落ち着いた時ですよね。もう、絶対に中に入れない、そして少し落ち着いて、ギリギリの判断が必要なお客様はとりあえずいらっしゃらない、という空気になるまで。


それまでは、例えばお客様がお化粧室に行って戻れるかどうか微妙なタイミングや、遅れて見えたお客様がいらしても、立ち見も含めてギリギリ客席にお入り頂けるかどうかの瀬戸際や、要するに一瞬一瞬の判断次第でお客様に いかにわずかでもいいご案内ができるか、かかっている時間です。


そこにスタッフが視線と判断の気配りを向けられなかったばかりに、たとえ立ち見であっても生の演奏を聴いていただけたかもしれないのに、数十分モニター鑑賞していただくことになる等は、悔しいし、スタッフとして残念なミステイクです。


いつもスタッフをするよ~という方は、今度はそんなことも思い浮かべながら挑戦されてはいかがでしょうか。