扉の差し替え | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

とてもデリケートな曲をプログラムに挙げている演奏会を開くとき、会場スタッフをされる方に、少し難しいですが「奥の手」の扉の管理があります。コンサートホール、客席の扉をイメージしてみてください。


通常は内側と外側の扉があって、2重になっていますね。そのままですが、それぞれ客席側は内扉、ロビー側は外扉と呼びます。


もちろん客席に外の音が漏れないようにそのような構造になっていますし、扉自体にもゴムがついていて、普通に使用しても基本的には問題はないはずです。しかしながら、特に神経を遣いたい曲もあることでしょう。


そんなとき、扉の左右の閉める順番を敢えて逆にすることで、より密閉されたような状態になります。当然ながら、開ける時も順番が普段と逆になるため、注意が必要です。


扉は普段から、左右のどちらか先に閉める扉が決まっているものです。その見分け方は、扉を閉めた状態で、左右双方の取っ手を持ち、同時に開けたとき、先に開く方が、最初に開ける扉=最後に閉める扉です。
それを逆にするのです。


ただし、この方法を使うには、そもそも普段から扉の左右を開ける順をスタッフが徹底的に守る習慣が完璧にあること、お客様ご自身で扉に触れるようなことが無いことができていないと、返って曲間や楽章間の途中入場の時に大きな音を立て、客席の雰囲気を悪くすれば逆効果になってしまいますので、くれぐれもお気をつけて・・・。あるいは「今日は扉を差し替えている」ということをスタッフ全員で情報共有することも大切です。


スタッフ初心者レベルの演奏会場ではまず「扉には左右で開ける順番がある」ことから知り、守る習慣付けから始めたいところですが、毎年同じ会場を借りて使う主催さんは上手くいけば有効です。