また怒鳴られて、目覚め | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

先日、お客さまに怒鳴られまくったお話を書いたところですが、少し置いてまた同じように怒鳴られることがありました。


それも、あることでお声掛けをしなくてはならないことで、しないと逆に「何故注意しないの」と他のお客さまからご指摘を戴くような内容です。


だから、そのこと自体は仕方のないことでしたが、開演も近いあの静かな雰囲気の中でしたので、声をかけられたお客様は恥ずかしい思いをなさったのだと思います。こちら側としてもちょっと胸が痛みます。


私の名前も聞かれ、名載ってもなお名札を掴むような勢いでした。その横で、連れのお客様はとても申し訳なさそうに私に目配せをしておられました。


その日、終演してから片付け始めていた頃でしたから、きっとわざわざ戻っていらしたのでしょう、なんとそのお連れ様がお一人でエントランスまで来られ、さっきのことを謝りたいとおっしゃるのです。私の名前を言っていたのも覚えてくださっていたので、上司からその場に呼び出されました。


こんなことは初めての体験かもしれません。本当に感謝で一杯です。それに、ご指摘を戴いたご本人のことも気遣って、「そもそも自分がお声掛けに至るきっかけを作ったから悪かったのだ」とおっしゃっています。お連れ様も、ご本人と私の双方にお心を痛められていたのだと、申し訳なさと感謝で一杯です。


それだけでも、私がもう少し嫌な想いをなさらないような素敵な声のかけ方をすればよかったと思っているなか、後日、上司からあの一件に関して、別の、近辺にいらしたお客さまから「あれでは(私が)可哀想だ」というメールが届いていたよと教えていただきました。


周囲のお客さまもこれから開演という時に、嫌な気持ちをなさったのだなと、改めて自分の仕事についてスキルアップをしなければと思うと同時に、お気遣いくださったことにもどんなに有難いと思ったかわかりません。


時折同業他社の一流サービスに関する著者などを買ってみたり、それなりに関心は持ち続けている気でいましたが、必要なことは何なのかまるでわかっていなかったと知らされました。そろそろもっと格上の…精神的な所から、接客を本気で目指す新たな時期に来ていること、それが何なのか、具体的な気づきがもたらされました。


これを読んでおられるわけではありませんが、私を怒鳴ってくださった方と、それからお連れ様、周辺におられた皆さまに、心からお礼を申し上げたいと思います。