お膝抱っこの演奏会 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

普段のクラシックの演奏会は、ほとんどのものが未就学児は入場不可とあります。

ところが、ファミリーコンサートといったような、小さなお子様にもお入り頂ける演奏会の企画がありますね。とてもよいことですが、御来場のお客さまに、決まったパターンのトラブルが予想されます。


まずはチケットに関することです。


特定の年齢のお子様の入場は無料、膝に抱っこして座席を使わない分には無料、という特別な企画のものも、なかにはあるかも知れません。


しかし、ただ単に

●膝に抱っこしてもOK

というだけで、チケットは必ず1人1枚必要という演奏会が多いです。


「膝抱っこだからチケットは要らない」という思い込みで御来場のお客様が、1回のコンサートで必ず何組かおいでです。実は膝に抱っこ云々の前に、思い込みで大人の分しかチケットを購入されない方が、もぎりの所で驚かれることもしばしばです。(そして、ご立腹気味のことも。)


その場合、チケットの無いお子様の分の当日券を購入していただくのがしかるべき方法ですが、満席ですとチケットが手に入らなかったり、連番では空席が残っていないことが想定されます。


この手のコンサートは、チラシを熟読して、納得の上チケットをご購入くださいね。



開演中には、

●お子様が会場内を歩いていても、「小さい子OKのコンサートなんだから、いいだろう。」というお考えが前提としてあるのか、止めようとしない保護者様も少なくはありません。でも、舞台で演奏が行われている以上は、それも御遠慮頂くべきです。


それに、暗くて段差もある会場内のこと、お子様自身の危険も考慮ください。


小さいお子様が飽きたり、怖がったり、ぐずりだしたり、泣き出したり・・・そのこと自体は、仕方のないことで、ある程度想定されています。


そのために・・・

演奏中でもロビーに出て頂いても大丈夫です。モニターでの鑑賞も可能な場合がほとんどですし、ロビーでなら飲食もOKですし、少し遊んだりして気分転換をはかられるようにお願い致します。


また、開演中でも出入り自由だったり、そうでない場合でも、何度でも途中で入れるタイミングがちゃんと用意されているプログラミングになっているはずです。


我慢できない→ロビーに出る→気分転換する→中に入る


というサイクルを繰り返し、なんとか終演まで持ち堪えていただければ理想的です。


一番困るのが

●子供が困っているのに、保護者の方が折角来たのに、出たくないというパターンです。実は、これも多いパターンです。


でも、折角お子様に生のコンサートをとお考えでしたら、「演奏会は辛いもの」ということが幼児体験として残ってしまいかねません。


もし、保護者の方が演奏会を楽しみたい時は、探せば託児付きの演奏会もあります。


保育士さんが、泣きわめく子供をロビーまで「お散歩」に連れて来てくださって、「ママ、いないね~。」などとあやしながら、なんとか終演まで頑張ってくれている姿を見ることもあります。人見知りが心配なお子様でも、1度くらいは試してみる価値があるかもしれませんね。


そして

●お子様向けのコンサートの企画は誰もが知っている名曲ばかりの馴染みやすいプログラムであったり、解説が付いていたり、気楽に楽しめるなどの理由で、案外お子様同伴でない方たちもチケットを購入し、ご来場なさっています。


そのような純粋に音楽を楽しんでいる方もおられること、他のお子様もちゃんと音楽を楽しんでいるのを邪魔してはいないかということ、また、真剣に演奏していらっしゃる出演者のこと・・・。それぞれの立場の人がいます。「お互いさま」では通らない部分もあります。


ちびっこの問題に限らず、演奏会に関する判断基準はみんなこれに尽きることと思いますが、「自分の周りのお客様が、迷惑がっているかどうか?」を考えて、行動してみてくださいね。