地震の後、東京近郊のコンサートホールでは、ホール自体やお客様、出演者、それぞれの立場でいつも通りのコンサートが開催できないことが続きました。
しかし、徐々に落ち着きを取り戻してきたようです。コンサートホールの修復や点検も落ち着き、公演も滞りなく行われ、お客様の出足も随分戻ってきました。
それでも、先日も仕事の終わりに、ミーティングも終わってさぁ、解散…という時、なんとなく雑談が始まり、「これから先、どうなるか分からないけれど…頑張ってやっていきましょう。」というような話になりました。
私の知人に「地震の時、電車に乗っていたの。まだ電車に乗るのが怖くて、あまり遠くに出掛けられない。」という方もいます。あるいは、お子様がまだ小学生以下だと、家に残された家族が気になって、コンサートに行きたくても行けない、などという声も。
また、出演者についてはどうでしょうか?一部とはいえ、海外組のアーティストは、どうも羽田より西にしか行きたくない、日本に来たくない、という感じが伝わってくることがあります。
でも、地震や放射能が怖いという感情を、ただ非難するわけにもいかないなと思ったりします。海外での情報は日本で思っているより深刻に伝えられていることもありますし、アーティストにだって、心配しながら留守を守る家族がいるのですから、日本のお客様と同じ立場という見方もできます。
日本人は、駆けつけて勇気づけてくださるマエストロに感涙ですが、ついつい来日を拒む人と比べてしまう傾向があるようです。感情的にはわかりますが、ちょっとは一方的な批判を思い直すことがあってもいいと 思ってみたりします。
レセプショニストの仕事やコンサートホールの仕事が激減したり、公演中止にがっかりしたり、採算が取れなくなって存続の危機にならないかみんなで心配をしてみたり、普段以上に「いざ」という時の避難誘導に緊張し、覚悟をしながら客席に入ったりと、こんな感じのレセプショニスト達もいるこの頃ですが、だからこそ、今まで以上に丁寧に仕事をしたいと思う日々です。
各々違う状況のなかで、音楽を求めてコンサートホールに足を運んでくださる皆さまに、心から、大切な時間を最高の時間としてお過ごし頂けるよう、心を込めてお迎えしたい、安全をお守りしたいと思う気持ちで一杯です。