落としてしまったチラシ | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

先日の仕事の折り、開場中の話です。私は客席扉の外側に居る所へ、一人の青年が2階から降りて来て「あのぉ…」とお声を掛けられました。


話を聞いてみますと、「2階から舞台の上にチラシを落としてしまった。」ということで、なんとも恥ずかしそうにしていらっしゃいました。


「じゃぁ、ここでお待ちいただけますか?」と、お願いし、私がとりあえず現場に行ってみますと、目立たない端の方に、一枚だけ、”こっそりと”落ちており、私が手を伸ばすと取れる範囲にあったため、そのままさり気なく拾うことにしました。内心、もっと派手にばら撒かれているのかと思ったので、ほっとしました。


青年のところに戻り、「これ一枚だけですか?」と聞きました所、そうでした。照れくさそうな笑顔で丁寧にお詫びとお礼を言ってくださいました。「いいえ、大丈夫ですよ。(お申し出くださり)ありがとうございました!」と、ニコニコでお答えすると、ほっとされたご様子でお座席にお戻りになりました。


ご自身で取りに行かれても、全く大丈夫な状況でしたが、きっと、舞台の上だったのでどうしてようのかわからなかったのかもしれません。


恥ずかしそうなご様子でしたので、お席にお届けしたり、一緒に行くと目立つので、その場で待っていただきました。


以前から、「バルコニー席など、手すりのある場所に、チラシを置かないでください。」ということを何度か記事にも書いてきました。「落ちてしまったら、どうする?」ということですが、この青年のように、お近くのレセプショニストにお申し出くだされば、対応致しますので、お気軽にお声を掛けてくださいね


落ちた先が客席、お客様の頭上ということもしばしば起こっています。きっと、恥ずかしさで気持ちが落ち着かなくなってしまいますと、その後の演奏を楽しむ心の余裕が失われてしまうかもしれませんし、お客様同士のトラブルが絶対にないとも言えません。


先述の青年も、たった一枚のチラシをよくお伝えくださたと思います。もし、申告がなければ、ひょっとするとそのまま誰にもきづかれないまま本番を迎えてしまっていたかもしれませんし、もっとギリギリに気がついて、大変に目立ったかもしれません。そちらの方が問題です。


青年のとった行動は、

たった一枚だったけれど、落としてしまってすみませんという気持ちが感じられました。知らんふりも出来たのに、素早くお申し出くださいました。それが、何事もなかったかのようにさり気なくすぐに対処できて、よかったです。