途中退席 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

演奏会を途中で退席することがわかっている場合についてのお話です。


電車の時間や、仕事の都合などで、何時になったら退出、と 決めていらっしゃる方が時々おられます。


そのこと自体は何も問題ありませんので、そっと靴音にお気をつけになってご退出ください。


特に、マナーということでもないのですが、ご自席の近くを担当するレセプショニストに、事前に退席の旨を一言お伝えしておいて下さいますと、有難いです。「この曲が終わったら」とか、「何時になったら」という風にお伝えくださる方があります。そういう方は、その扉にいらしてくださいます。


予め事情がわかっているために、扉の開閉を含めてスムーズにご退席いただいたり、客席内への光漏れにより一層気をつけたりという点でも助かります。時々、「そのような事情なので、レセプショニストの椅子で聴かせて欲しい」。というご希望を承ることもあります。それも、有難いご配慮です。


もう一つは、お帰りになるのか、お化粧室へ行かれるのか、はたまたご気分がお悪いのか・・・???という退出の理由がわからないで とりあえず外へ、ということがない点でも有難いのです。


客席の内側と、外側のスタッフにも情報の共有が出来ていると、例えば、”もしお化粧室なら次にお入り頂けるタイミングをご案内しなければ”ということで「お化粧室でございますか?」というような、お急ぎのお客さまに不要なお声掛けをせずに、そのまま「ありがとうございました。」と、気持ちよくお見送りすることができます。お客様側もそのような対応の方が気持ちよくお帰りいただけるようです。


よく、事前に事情をお知らせくださったお客様と、軽く会話を交わすこともあります。「すみません。最後まで聴けなくて・・・。」「残念ですね。」「新幹線の時間がギリギリで・・・。」「まぁ!遠いところからお越しくださいまして、ありがとうございます。」「今日はありがとう!じゃあね!」なんて。


そんなとき、必ずお客様はいい笑顔でいらっしゃいます。残念なお気持ちをちょっとでも共有できたのだとすれば、嬉しいことです。何度か「ありがとう。」とおっしゃりながら、足取りも軽く、ホールを立ち去って行かれます。