楽しみにしていた演奏会へ、何らかの事情で遅れて辿り着くことがあることと思います。そんなとき、コンサートホールではどのような対応を取るのでしょうか?
♪入れる?入れない?
それは主に、演奏会のプログラムで決まってきます。比較的短い曲を何曲か演奏する場合は、曲と曲の間に。(リサイタルなんかに多いです。)交響曲では、楽章間に・・・。等々
でも、たとえ同じ曲目だったとしても、全てがその時々によって違います
それに楽章間であっても、全部の楽章間ではなくて1楽章と2楽章の間みのということも多いです。
結局は、本来全ての楽章が終わって1曲ですが、聴いていただきたいという想いから、演奏になるべく差し障りのない場所をチョイスします。1楽章の後が多いというのは、ギリギリ間に合わなかった方がたくさんいらっしゃるタイミングだからなのかも知れません。それに他の楽章間の性格上、曲が一気に流れるので、演奏の妨げにもなり、既に中できいていらっしゃるお客様に迷惑になる、という両方の観点から難しいということもあるかもしません。
いずれにせよ、予め、主催者、ひいては演奏者(オケなら指揮者)の意向で決められており、ホールのスタッフはそれに従ってのご案内をしています。
ですので、決まったタイミング以外では、入れて差し上げたくても無理ということになります
むしろ、途中で入れてもらえたなら、本来 中に入れないものを、ラッキーだと認識した方がよいと思います
♪途中入場できる座席
うまく途中で入れてもらえるとして、本来の座席とは違う案内、または本来の最寄りのドアとは違うところからの案内になることがあります。
会場内にレセプショニストがいるドアの所から、遅れて来られたお客様を個人はもちろん、複数いらっしゃる時はまとめて入れるということは一般的に行われます。
1階席の人でも2階席から途中入場していただいたり、その逆など、各ホールのやり方はありますが、必ずしも自分の席やその近くのドアではないことがあるということはご理解ください
♪立ち見
途中入場の場合、楽章間の時は特にそうですが、次に自分の座席に座れるタイミングまで、扉を入った所のすぐ近くで立ち見となることも珍しくはありません。
それが長い曲であっても、立ち見は立ち見。
プログラムの前半は長い曲1曲だけという場合は、次のタイミングといえば、休憩まで立ち見ということになってしましいます。
「そんなことなら中に入りくない」という場合は、無理に入らなくても大丈夫です。バーカウンターで何か飲んで待っているとか、ロビーのモニターで鑑賞するとか、色々選択肢はあります。
遅れたお客様に、レセプショニストが次はどんなご案内をするのか一人ずつ説明をしますので、その時に入らないと意思表示すればそれで大丈夫です
♪運が良ければ・・・
遅れて来て、立ち見の案内をされても、運が良ければ座れる可能性がないとは言えません。自分一人だけだったら、レセプショニストが座る椅子を空けてもらることもあります。(丸椅子とか、材質とか、客席の椅子より質は劣ります。)ただし、不平等にならないよう、誰かが座って他の誰かは立つということのないようにしていますから、椅子の数(たいてい1~2個)以上の人がいたらアウトです。
でも、ご高齢の方や、御身足がご不自由な方(杖がないとダメとか)に優先で座っていただくこともあるかも知れません。この時ばかりはご協力ください
コンサートホールによって用意されている対応は異なると思いますが、とりあえず近くの空席に掛けていただく対応のある場合もあります。その時でも、ギリギリまで遅れるお客様が増える可能性があり、椅子の数に対して全員がお座りいただけない場合は、やはり不平等にならないよう、一応「立ち見」でしかご案内しません。万一座れるラッキーな場合は、多くはドアを開ける間際にそう伝えられるか、いきなりなかで知ることになります。
ですので、一度空席に掛けた経験があるからといって、いつもそうではありませんし、同時に入る人が全員座れない限り、たとえ空席があってもお座りいただけません。時々「前は座らせてもらった」とか「座れるのよねぇ
」とおっしゃるお客様がいらっしゃいますが、必ずしもそうではなく、その時その場所その状況によって個々に違うのでご期待に添えないことがあります。もちろん空席を利用する対応をやっていないホールもあります。お含み置きいただきたいことです
お客様が一人でも立ち見されているドアでは、私たちレセプショニストも一緒に立ち見しますからね
♪お願い
途中入場することになった場合・・・。
基本的にレセプショニストの案内に従ってくださいね。勝手知ったるホールだからといって、ご案内のドアをスルーして、自分の席付近のドアに突破して、勝手に入るとか、いざ中に入るタイミングが近づいてもお姿がないようなことのないようにお願いします。(だいたいあと何分で入れるか
目安をお伝えしますので早めにお戻りください。)
遅れていらした場合は特にあせって駆け込んでいらっしゃるために、携帯電話
の電源を切り忘れていることも多いです。是非お確かめください。また、買い物のビニール袋など音の出るものはバッグのなかにしまうなど、お願いしたいです。
時間に余裕のある場合は大荷物はクロークをお勧めします
途中で入るということは、既に演奏中のところにステージも聴衆もうんと集中が高まっているなかに入っていくのですから、相当デリケートにお願いしたいです。靴の音は想像以上に響きます。話し声もタブーです。
反対に客席で途中入場される立場になった場合も、本来ないに越したことはありませんが、ご理解とご協力をお願いしたいです。客席内では「立ち見の場所は ここまでしかダメ」とか「ここに とにかく座って!」とか、レセプショニストも声は出さずにゼスチャーになります
時には 折角ドアの向こうに入ったとたん、次の演奏が始まってしまい、結局はステージの見えないところでまた次のタイミングを待つ、という、最初のご案内(説明)と違ってしまうことも時々発生してしまします。
曲間や楽章間の予定だったのに、実際には続けて演奏が始まってしまって、お入り頂けなくなることもあります。このような事情の場合は実際の演奏に従い、演奏に支障をきたさないようにしています。
どんな状況か説明はさせていただきますが、このような事態に遭遇したらご容赦ください
交通麻痺など、どんな事情があるにせよ、それが高額のチケットであるにせよ、申し訳ありませんが、クラシックのコンサートというのはそういうやり方がマナーなのです。
自分が聴きたい目的の曲や好きなソリストが聴けないのはどんなにか残念で、気持ちのやり場がないような悔しさがあることと思います。
それでもどうかご理解いただけますよう、遅れたときのことについて書かせていただきました