
未来について、ある部分だけを取り上げて論じる文章はたくさんあります。しかし、全体像を大きく捉えているものは稀有であると感じます。
例えば、近い将来AIやロボットが人間の労働を代替するようになるだろう、そして、人間はベーシックインカムによって基本的な生活は保証され、生きるために働く必要がなくなるので、楽しみややりがい感のために働くようになるだろう。
こういうことを言う人は珍しくはないと思います。ところが、それが実現するために、まず壁になるのが、現在の数倍から数十倍の電力が必要になることで、それは、石油や石炭や天然ガスのような有限なものによらず、また水力や地熱のような場所が限られるものでもない、まさに再生可能、持続可能なエネルギーでなければなりません。
さらに、現行の負債通貨ー通貨を発行すればするほどそれが政府の負債となり、さらにそれに利子が発生するーものであっては、ベーシック・インカムの実現は不可能ですし、何倍、何十倍ものエネルギーのための大規模な投資を行うことも不可能です。
要するに、通貨制度も、エネルギー構造も現在とは全く異なる、根本的なグランド・デザインが必要になると言うことです。
しかしながら、実は、そのグランドデザインは、最新、および実現しつつある、あるいは近未来において可能になるテクノロジーを組み合わせることで可能です。
実は要になるのは、エネルギーと通貨をセットで、根本的な仕組みを刷新することです。逆に刷新をしなければ、これまでの負債通貨の仕組みはもう限界を迎えつつあり、最終的には財政破綻、ハイパーインフレなどによって一回「御破算」にしてやり直すしかなくなります。それをやったとしても同じことの繰り返しにしかなりません。
そう考えると、今人類は、人類史上最大の試練に直面していると言えるのです。
結論的に、到達する世界は、宇宙太陽光発電、水素核融合発電、常温核融合発電、空中風力発電の4つが、エネルギーの中核となり、電力の発生に伴って、その電力、Kwhによって価値を裏づけられ、ブロックチェーンによって記録されるデジタル通貨が、双子のように生み出される仕組みです。いわば、通貨は「ある一定量の電力を受け取って使う権利の証」として発行されると言うことです。この通貨を借りに「電力通貨」と呼びます。
この通貨は、電力のkwhで裏打ちされているため、ごく特殊な場合を除いては、インフレもデフレを起こりません。ただし2つの厳格なルールが存在します。発生した電力に対応して発行されると言うことと、使われて消滅した電力に対応する通貨は消滅させると言うことです。大まかに言えば、電気使用料として回収された通貨の一部は消去されると言うことです。
ただし、ここが重要なポイントなのですが、電力が形を変えて資産が形成されることがこの通貨制度が成り立つ上での重要ポイントになるのです。ところで興味深い点は、テクノロジーが進化すればするほど、物の値段(価値)は、それを製造するためにどれだけ電力を必要としたか、ということに一致するようになることです。典型例は、カーボンナノチューブです。カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube : CNT)は、炭素原子(C)だけでできたチューブ状のナノ素材です。日本で発見された先端材料であり、鋼の20倍の強度、銅の10倍の熱伝導性、アルミの半分の密度、シリコンの10倍の電子移動度を持つと言われています。比較的安価な汎用の多層カーボンナノチューブでも、1グラムあたり数百円から5000円です。炭素自体はこの地球上で最もありふれた元素ですが、このような値段の理由は「製造に大量の電気が必要だから」です。
他に、電力が形を変えて資産価値を持つ事例としては、のちに水素を取り出すことができるシクロヘキサン、ガソリンの代わりに燃料になるE-Fuelなどが典型です。こういうものが存在することは、それに対応する通貨の存在を必要とするため、それは消去されません。このことが、電力に裏打ちされた通貨が、電気料金を払うだけでなく、電気のやり取りを伴わない、あらゆる取引に使うことができる、またそれだけの通貨量が存在できる根拠となります。
そして、政府が、特に宇宙太陽光発電や大型核融合発電など民間では難しい大掛かりな発電施設を所有して、その発電量に応じて通貨を発行する場合、驚愕するべき現実が現れます。政府が産業を振興するために多額の予算を投じたとします。それが直接、電力への投資でなかったとしても、結果的に電力の使用量を増加させることになります。そうすることで、政府は電力施設も増設して、さらに電力を作り、さらに多くの通貨を発行することができます。それによって負債は一切発生しません。つまり、このような通貨制度は一方的に豊かになる一方になる制度ということになります。
しかも、電力を多く消費して作られるがゆえに高価な素材、CNTが典型ですが、それを製造している間にそれに対応する通貨を政府は発行していることになるので、その通貨で補助金を出したり、電力を無料で提供したとしても、全く懐が痛まないのです。
このような循環が生まれ、発電量が現在の十数倍、数十倍になった時、政府が通貨を発行できる額も巨大なものになりますので、全ての国民に基本的な生活費をベーシックインカムとして支給することは容易に可能になるのです。
とはいうものの、通貨制度を変えるというのは容易ではありません。とてつもない高いハードルがあると言っていいでしょう。ところが、この電力の通貨の特徴は、それを「つか」と呼ぶかどうかは別にして、電力を作る人と消費する人がいてブロックチェーンで記録される仕組みがあれば、どこからでも発生可能なことです。
例えば、アメリカで今大問題になっていることがあります。巨大なサーバーを持つ大企業が進出してくると、電気の需要が逼迫し、電気代が上がるので、地元の不満が高まっているというのです。そこで、アメリカ政府もこうしたテック企業に対して、「発電にも責任を負え」と圧をかけているとのことです。そこで、例えば空中風力発電や常温核融合などで発電しながら、電力クーポンみたいなものをデジタルで発行して地元民に、電気代の支払いだけでなく食事や買い物にも使えるような仕組みをつくればいいのです。
似たようなことは、地方の産地でも可能で、空中風力発電や常温核融合、場合によっては小規模水力発電や潮力発電など自分たちで使う電力を賄いながら、電力クーポンを発行して地元経済を活性化することもできます。
そうしたクーポンの発行が各地各所で行われるようになったら、ブロックチェーンを統合して、統一クーポンを作ることもできます。このクーポンのいいところは、インフレの影響を受けないことです。kwhで裏打ちをされているということは、ある意味ゴールドよりも安定していると言えます。なぜならば、ゴールドは生活必需品ではないですが、電力は必需だからです。そうなると、このクーポンは、ポートフォリオの中に組み込むことさえできるのです。
こうして、民間レベルで実体が作られ、多くの人が慣れ親しみ、その良さを実感してゆく、特にもしハイパーインフレなどが起きたら社会は大混乱しますが、電力のクーポンがあればそれを使った取引は円滑にゆきます。そして時間をかけて、最終的には法定通貨にしてゆくことができるのです。なんと言っても政府自身の運営にとって、非常にメリットがあることはすでに説明したとおりです。
こうした理由で、未来を語る上で、電力と通貨制度のことは、絶対に欠かすことはできないのです。
そしてそれが人類が未だ到達したことがない、第3ステージの「金融・産業ー資本主義」から第4の歴史的ステージ、「高度情報化ー共生(コモンズ)社会」への移行の入り口になるのです。
さて、この話をもっと詳しく、さらに、社会全体のグランドデザインについても知りたい方は、以下の電子書籍をどうそ

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