前回のブログを読んで、もし「欧米だけじゃなく、日本だって『医療崩壊』『医療逼迫』が起きていたじゃないか? 私たちはそんな医療現場を助けるためにも感染対策を徹底し、重症化して病院に負担をかけないようにと思ってワクチンを接種したのだ」という感想を抱いた方がいたとしたら、それについての反論内容は、まさに前回の冒頭で取り上げていた「2類」「5類」の問題と直結している。
「2類」だったから、医療現場に余計な負担が生じたのだ。
発表されたコロナの重症者数より、例年のインフルエンザの発症者数は桁違いに多い。それなのに医療崩壊など起きなかった、ということを忘れてはならない。ちなみに、インフルエンザは5類である。
さらに、点と点とを真摯につなげるような調査によれば、「大本営」から発表されるコロナの重症者数は、実際の10倍ほどに水増しされていた(いる)ようだ。
さて、この「水増し」の象徴的存在が、「PCR検査」である。
ご存知のとおり、PCR(polymerase chain reaction)法は、故キャリー・マリス博士によって考案されたものであり、鋳型となるDNA配列を2倍、4倍、というように倍々で増やすことができるものだ。
これ自体は画期的な発明であり、装置である。
何かの「遺伝子」についての観察・検査・実験をしようと思っても、遺伝子というものはあまりにも小さく、そのままでは「大海に浮かぶ一匹のクラゲ」のようなもので、見つけるのが困難だ。(クラゲじゃなくてもいいのだが)
顕微鏡を覗いても、視野の範囲内に1匹(1個)も見つからない、ということも珍しくない。
そこで「クラゲ」が存在していると思われる範囲の海水をざばーっと採取し、PCR法で「クラゲ」を爆発的に増大させる。そうすることによって、「クラゲ」を視野に捉えることが可能になり、その生態を解析することができるようになる、というわけだ。
原理的に「クラゲの有無」を判断するためのものではなく、「クラゲの存在を前提にした検出(増幅)装置」なのである。(←これが肝だ!)
PCR測定機があくまでも「ターゲットとなる遺伝子の検出装置」であって「病気の診断装置」ではない、という理由がここにもある。「有・無」つまり「陽性・陰性」の判定には(半分)不向きなのだ。「半分」というのは、「無」であれば増幅できないため、「陰性である」という判定はある程度有効と思われるからだ。
この特性をもちろん熟知していたキャリー・マリスは、生前、PCR測定を「感染症の診断」に用いることに警鐘を鳴らしている。(つまり、当時からPCRを病気の診断に用いようとする「不穏な」動きがあったということだ!)
警鐘を鳴らした理由は次のようなものである。
・仮にターゲットとなる「遺伝子」が検出されたとしても、それが必ずしも発症を意味しないから。
・PCRを誤用すると、「無」から「有」が生み出されてしまうから。
では、どうしてPCRを使った診断でそのようになりがちなのか、おれなりにまとめてみた。
再び「クラゲ」の喩えで申し訳ないが、PCR検出法は「クラゲが存在することが前提」だ。同時に「他の似たクラゲが存在しないことを前提にしている」と言い換えることも可能である。
つまり、増やしたいのは「クラゲX」なのに、ざばーっと採取してきた海水にもし「クラゲX」の代わりに「クラゲY」がいて、さらに「X」と「Y」に一部共通の特徴があれば、PCRによって「Y」が増殖され、それによってあたかも「X」が存在するように見誤ってしまう危険性があるのである。繰り返しになるが、PCRは未知の(あるいは、想定外の)「有」には対応しきれず、「X」が無くとも、「Y」がいるおかげで、あたかも「X」がいるように判定されてしまうケースも生じるのだ。
ではいったい、どのような仕組みでそうなるのだろう?
たとえば、図1のように、「い」から「り」までの塩基配列が有れば、それはコロナウイルス(SARS-CoV-2)の塩基配列であると判定するとする。イメージを単純化するために、図では、い・ろ・は・・・としているが、実際は塩基A・T・C・Gの組合せだ。
一般に、10数万個の塩基から構成されていると言われているウイルス。
だが、増幅のターゲットはそのほんの一部、わずか100~300個ほどの塩基配列(シークエンス)であり、この約300塩基が存在すれば、「陽性」と判定されるのだ。
@Celluloid Blue
※ここではPCR法のイメージをつかんでもらうために、正確なDNAの二重らせん構造ではなく、便宜的に数珠繋ぎの構造として描いている。実際は2本鎖DNAを熱変性によって1本鎖に分ける、といった処理をしているが、それらの過程はすべて割愛する。
約300塩基のシークエンス=鋳型DNAを、倍、倍で増幅するために、相補的な塩基配列を持つ「プライマー」(各20塩基ほど)が用いられる。プライマーを日本語に直訳するのは難しいのだが、ここでは増幅反応のための起点・・・、「触媒」と解釈してよいだろう。
始点(Forwardプライマー)から終点(Reverseプライマー)までの鋳型DNAが、一連の処理のたびに倍、倍で増幅する。
@Celluloid Blue
プライマー無くして増幅は不可能。
ただ、ここでは、
「プライマーの塩基配列があらかじめ設定されている」
=「増幅させたいと考えている塩基配列があらかじめ決まっている」
ということを押さえていただけるとよい。
つまり「未知の遺伝子断片」を探る検査ではないわけだ。
問題は、先ほども言ったように、喉や鼻腔の粘膜から「ざばーっと」綿棒ですくってきた粘液のなかに、ターゲットとは別の遺伝子断片が含まれていたときだ。
いくら想定していたのとは別であっても、そこに始点と終点に対応する塩基配列があれば、その塩基配列が増幅されることになる。
@Celluloid Blue
つまり設定した始点と終点がたまたま同じというだけで、まったく別種の遺伝子を増幅させているかもしれないのだ。
そしてそれは、病原性を有しない遺伝子の断片かもしれない。
しかし、たとえそうであっても、「PCRで増幅されるものはターゲットの塩基配列である」という前提なので「有=陽性」判定が下される。「何」が増幅したかは問題ではなく、ただ「増幅したかどうか」が、判定基準なのだ。
いま言ったように「何が増えたか」は判らず、さらには「どのくらい増えたか」かも正確には判らない。
増幅後の定量測定はざっくりとしたもので、CT値40で計算上は1兆倍に増えるが、それを逆算して、最初の数量が1兆分の1なのかは判然としない。
これがどういうことを意味するかというと、増幅されたのが運良く目的の塩基配列だったとしても、CT値が高すぎれば、もともと存在していた数が判らなくなる、ということだ。
もともと粘膜などに存在していた数が極微量で、発症させるにはまったく不十分なものだったとしても、CT値が高すぎれば、「陽性」となり、即「病人」扱いされてしまうわけである。
要するに、たとえ「有=陽性」と判定されたとしても、
・その遺伝子断片が本当にコロナウイルスのものであるかどうかは、PCR法では正確には判らない。
・たとえコロナウイルスのものだったとしても、ウイルスが活性状態なのか、失活しているのかどうかは、PCR法では判らない。
・仮に活性状態だったとしても、発症させるに足るウイルス量であるかどうかは、PCR法では判らない。(特にCT値を高くすればするほど)
ということになり、これが、PCR測定を感染症の診断に用いるべからずというキャリー・マリスの言葉の主な理由と思われる。
だが、「やつら」はそれを理解していながら意図的に「誤用」した。
CT値を40にした場合、偽陽性率は97%とも言われている。
つまり、100人の「陽性判定者」のうち、本当のコロナ陽性者は3人しかいないということになる。(その3人が発症者かどうかは、さらに別問題)
だが一方でおれが解せないのは、「PCR検査は不適当」と説いている学者が「第○波」という感染の流行のことは「事実」として捉えていることだ。
井上 今、流行の五波でしょう。
小林 デルタ株でもう五波か。
(『コロナとワクチンの全貌』小林よしのり・井上正康 小学館 P-105)
もっとも、『波が来るたびに集団免疫ができてピークアウトしていく。だから大騒ぎするな』という文脈のなかでの言葉なのだが、「波」があること自体は認めている。
ここも、おれにとっての「整理ポイント」だ。
だって、PCR検査による「陽性者数」は「偽陽性」がたくさん出るのだから数字に信憑性は無いはずではないのか?
さらにその数字を「感染者」と言い換えているのだ。
この時点で、「発表されている感染者数」というのは、すでに二重に疑わしい。
そんな数字をもとにして感染が拡大しているだの、減少にむかっているのだのと「分析」しているのは何故なのか?
ここでもやはり、針小棒大がキーワードになる。
発表された数字が針小棒大であることは承知の上。→ 実際は「発表された数字」の1割ほどだと解釈。→その割り引かれた数字でも「流行の波」は認められる・・・、という理屈なのだろう。
まあ、結局「コロナは騒ぐに値しない」という結論は共通しているのだが、おれなどはさらに、「発表された数字」は端的に「フィクション」だと捉えている。
本当にPCR+抗原検査に基づく数字であるかどうかも疑わしい。
メディア内では「今週発表する予定の数字」として、あらかじめ「感染者数」が決まっているとも言われているではないか。
つまり、もっともらしく報道される数字は「誰かが恣意的に決めたデタラメの数字」である可能性も否定できないというわけだ。その場合、「第○波の報道」というのは「現状の報告」ではなく、「目的のための操作」だということになる。
今年の11/20の東京都の感染者数:7,777人、死亡者数:7人と発表されたのは、
「感染者数なんかインチキなんだよ。いい加減気づけよ」
というメディアからのメッセージだった公算が高い。
「じゃあ、最初からデタラメの数字を報道するつもりなら、PCR検査なんて必要ないじゃん!」と考えるかもしれないが、PCR検査は「検査に来たシープ個々人」を欺くためのもので、報道は「シープル(大衆)」を操作するためのものである、と分けて考えるとよいだろう。
まあ、実際は、そこまでデタラメではないの“かも”しれないが、だからといって信憑性があるとは、なおのこと考えられない。
どちらにせよ針小棒大な判定結果に基づいた「感染の波」を「拠るべき事実」と解釈することはおれにはできない。
どう針小棒大に(善い方向に)解釈したとしても「真」とすることはできない、とおれは思う。
そうなると、「マスク着用率世界一なのに、感染者数も世界一!」という嘲笑の言葉にしても、マスク脱却促進のためには(便宜的に)支持するが、感染者数が本当に多いのかどうかは、疑わしい。(ただし、少なかったとしてもマスク着用のお陰ではない)
<今回の参照サイト>
ロシュ社 PCRとは(基本情報)
https://www.roche-diagnostics.jp/ja/general/pcr/pcr_1.html
Bio-Science~生化学・分子生物学・栄養学などの『わかりやすい』まとめサイト~
https://lifescience-study.com/1-principle-and-outline-of-pcr/