面末年始はこの本たちで決まり!ですね。
第八巻「こわい話---ほんとうにこわいのは誰だ!」
編者・松田哲夫氏解説文
◆序詩「蛙の死」(荻原朔太郎)を読むと、「死んだ蛙」、
「血だらけの手」、「月下の男」といったイメージが強烈
に目の前に浮かび上がってきます。子供たちが遊びで
昆虫や蛙を殺してしまうことはよくあることでしょう。しかし、
時が経って大人になり、「罪」というものを知った目で
それを見ると、まったく無垢な心で平然と残虐な行為を
おこなう子供たちの姿に戦慄を覚えるかもしれません。
夢には楽しい夢もありますが、とてもこわい夢を見る
こともあります。そういう悪夢を見た時は、目覚めて
ホッとしつつ、その奇妙な世界での体験を誰かに
語りたくなることもあるでしょう。ただし、夢はその人
固有の問題や人間関係などが色濃く反映されるもの
なので、そのまま語ったり文章にしても、おもしろさが
伝わりにくいものなんですね。ここに紹介するのは、
そういう夢の不思議な感じを見事に作品化したものです。
【収録作品】
萩原朔太郎 蛙の死
夏目漱石 夢十夜
内田百閒 豹/鯉
江戸川乱歩 白昼夢
半村良 箪笥
岡本綺堂 利根の渡
中島敦 牛人
菊池寛 三浦右衛門の最後
坂口安吾 桜の森の満開の下
夢野久作 瓶詰地獄
星新一 鏡
山川方夫 お守り
志賀直哉 剃刀
島尾敏雄 鉄路に近く
太宰治 トカトントン
第九巻「食べる話---ミートソースかナポリタンか?」
編者・松田哲夫氏解説文
◆序詩「くらし」(石垣りん)は、人間が生きていくためには、
食事として口に入れる生き物をはじめ、ありとあらゆる
他者を食べて続けているんだということを、真っ直ぐな
言葉で突きつけてきます。そして、自分たちが「獣」で
あることに気づき、その悲しみに「涙」を浮かべることが
できるかどうか、問いかけてくるのです。
「食べる」ことをめぐって語られた物語を四編集めてみました。
鮨の話が二編と粥の話が二編です。どういうわけか、
鮨はどちらも、食べる喜びを見出していく話です。そして、
粥はどちらも、現実に食べるよりも想像するほうが楽しい
かもしれないという話です。
【収録作品】
石垣りん くらし
志賀直哉 小僧の神様
岡本かの子 鮨
芥川龍之介 芋粥
矢田津世子 芋粥の記
子母沢寛 冷や飯に沢庵
幸田露伴 野道
森茉莉 ビスケット
伊丹十三 プレーン・オムレツ
深沢七郎 いのちのともしび
種村季弘 幻の料理
色川武大 大食いでなければ
古川緑波 富士屋ホテル
向田邦子 ごはん
武田百合子 枇杷/夏の終わり
宮沢賢治 注文の多い料理店
第十話「ふしぎな話---夢の世界はあるのかな?」
編者・松田哲夫氏解説文
◆序詩「死なない蛸」(萩原朔太郎)は、江戸川乱歩などの
都会的なミステリー作品が掲載されていた「新青年」に発表
されたので、詩というよりもショート・ショートのような雰囲気の
作品です。見捨てられ、飢えに飢えて消滅していった蛸の魂の
ようなものが生き続けているというお話です。
「物すごい欠乏と不満をもった」動物って、想像もつきませんが、
しっかりとそこにいるような気がします。これこそ言葉のチカラですね。
どこかにふしぎなものを探しにいかなくても、日常の中にふしぎの種は
紛れ込んでいます。そういう種を注意深く見つけ出して、空想や
妄想という栄養を与えてあげると、思いがけない育ち方をして、
私たちを楽しませてくれるかもしれません。
【収録作品】
萩原朔太郎 死なない蛸
寺山修司 全骨類の少女たち
川端康成 化粧
梶井基次郎 愛撫
谷崎潤一郎 秘密
夏目漱石 心
内田百閒 尽頭子
森銑三 猫が物をいう話/猫の踊
三島由紀夫 美神
夢野久作 怪夢(抄)
星新一 おーい でてこーい
梅崎春生 侵入者
宮沢賢治 どんぐりと山猫
芥川龍之介 魔術
豊島与志雄 立札
中島敦 名人伝
稲垣足穂 黄漠奇聞
面末年始はこの本たちで決まり!ですね。