喉元に、鉄さえいともたやすく斬り裂くブレードをつきつけられながら
ゼータさんは、怖じることなくウソぶいた
「さすがスプリガンNO1の戦闘力をほこる、殺人マシーンですね」
「さあ、どうぞ とどめを・・・」
ゼータさんの凍てつくような言葉をまじかで受けたアヤさんは、大粒の涙を流した
つきつけたブレードをとりおとしそうになった
「あぶない!」
たまねぎさんの鋭い声が響いたと、同時に
ゼータさんは、ヒラリと身をひるがえす
一瞬前にゼータさんのいた空間に、凄まじいスピードで強大な塊がとびこんできた
・・・それは、かわさなければいけなかったし
いつもなら、なんなくかわしていただろうに・・・
アヤさんは・・・ムリもないことだが
一瞬の判断の遅れから
二本のブレードをクロスさせ、受けの体勢をとってしまった
メキメキメキィ!!
巨大な塊は、アヤさんに衝突し、ブレードごとアヤさんをふきとばした
「アヤさああああああーーん!!」
だれかの悲鳴がひびきわたった
ドゴォォォン!!
地面に落ちた塊をよくみると、それは
巨大な
とてつもなく巨大な鉄球だった
まるで、中世 西洋の騎士が使うような、トゲトゲのスパイクがついた
大の大人が両手で、やっとかかえられるぐらいの
巨大な
「モーニングスター」と呼ばれる武器のようであった

アヤさんのもとに駆けよるボクチンらをしりめに
鉄球は、つながれた鎖をひかれ
いっきに引き戻された
あの巨大な鉄球を このスピードで・・・・
どんな怪物・・・?
ボクチンは、鉄球の主を振り返ってみた
そこにいたのは・・・
まさか・・・
さすがに、この巨大な物体が動くはずはないと、たかをくくっていたが
ゼータさんのスタンド「レイジ アゲインスト ザ マシーン」は
数だけではなく、大きさも問題にせず、自在に操れるようだった
そこに居たのは・・・あの
RX-78 ガンダムだった
そうか・・・
あの武器は、ガンダムハンマーだったのだ

ガンダムは、いつでも鉄球を放てるように構えている
その凄まじいパワーを秘めた機体が放つ、プレッシャーに
背中に冷たいものが、つたうのをボクチンは感じた
ふいにゼータさんの声が聞こえる
「この強大なガンダムハンマーを真正面から受けて」
「折れも曲がりもせず、逆に・・・」
「ハンマーのほうに切り込みを・・・キズをつけるとは・・・」
「さすがは、地上最強の硬度をほこる、オリハルコンブレード」
「いや・・・」
「ほめるべきは、その持ち主の方か・・・」
「あれだけの打撃をうけて、気を失っているというのに」
「武器を離さないとは・・・」
アヤさんは、仲間たちに囲まれ床に倒れていたが
その両手のブレードは、堅くにぎりしめられたままであった
「アヤさん・・・」
ナンさんが倒れたアヤさんを、ゆっくりと抱きしめる
ゼータさんは、また冷たくいいはなった
「さあ・・・これからが本番ですよ」
「次は、どなたですか?」
「なにをっ!!」
ナンさんが、憎悪をあらわに、とびかかろうとするのを制したのは
たまねぎさんだった
「部長、アヤさんを診てあげて」
「ナンちゃん、アヤさんを守るために ここに結界をはってあげて」
「たまちゃん・・・」
「私が行く」
たまねぎさんは、ゆっくりと仲間たちから離れ
それにあわせて、ナンさんが呪文をとなえると
ボクチン達のまわりの空気が、渦を巻き
目で見えない壁が現れた
たまねぎさんは、問う
「ゼータさん・・・あなたはアヤさんと戦って 勝つためだけに
これだけの準備をし、戦略をたて
アヤさんの動揺をさそって、心のすきをつき
アヤさんを倒した・・・」
「これは、アナタの力でアヤさんを倒したと言えるわ」
「世界最強の組織がほこる、NO1の戦士を倒すことができたんだから・・・」
「もう充分じゃない?
それをゼータさんは、やはり冷たい口調でうける
「私は・・・一番大事にしていたものを裏切り キズつけた」
「それほどまでして、求めたのですよ」
「私は・・・倒れるまで止まりませんよ」
ゼータさんの瞳に、また 黒く燃える炎がともる
「それに・・・あなたはアヤさんを最強と言いながら」
「それを倒した私に負けない自信をもっている」
「それを許すわけにはいかないんですよ」
「次は・・・次の相手は・・・」
「あなただ!」
つづく