ゼータさんの声がホールに響き渡ると
ゼータさんの背中から黒いケムリが立ち上り、後ろの景色が蜃気楼のようにブレだした
そしてケムリは、はっきりと人の形をつくり
そこにゼータさんのスタンドは発現した

スタンド デザイン&作画協力 カナリヤ先生
それは、夜の闇を集めたような艶やかな光沢を放つ、真っ黒なコートをきて
瞳は血のように真っ赤に輝き
怒り狂うようにつりあがっていた
額にはゴーグル
首もとについた巨大なファスナーが、じゃらりと揺れた
コートの下には、あるはずの足がなく、真っ白い両方の腕だけが不気味につきだされている
ゼータさんは、かぶっていた帽子をずらしあげ、燃えるような瞳をボクチンらに向けて
言った
「ドクロさん、私はウソはついていませんよ」
「強力な味方をつれてきたんです」
「ただし・・・味方は味方でも、あなたがたの・・・では、ないだけです」
「おもうのですが」
「アナさんは、キノコ人間のままでいたほうが幸せだったのですよ」
「ドクロさん あなたを失ってしまうのだから・・・」
ゼータさんは、まるで歌舞伎のミエのような、独特のポーズををとると
もう一度叫んだ
「レイジアゲインストザ マシーーン!!」
「ゲリラ レディオ!!」
ゼータさんのスタンドは、コートのファスナーをゴーグルの下までひきあげ
顔をかくした
するとゴーグルの中にあの、もえるような赤い瞳がうきあがる
スタンドは、ゼータさんの上空に浮き上がり
コートの下から白いケムリが噴き出した
ケムリは、生き物のように床をつたい
ぎっしりと立ち並ぶヒーローのフィギユアたちを囲み
みるみるエントランスホール中に、ふきだしたケムリが、みちあふれていった
ホールすべてにケムリがいきわたった時
ゼータさんは言った
「よみがえれ、私のヒーローたち」
ゆっくりと腕をふりかざす
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・あれ?
その手の方向
こっちむいてないか?
と
ボクチンが思った瞬間
レイジアゲインストザマシーンのケムリにまとわりつかれたフィギュアたちが
ゆっくりと
動き出したのだ!!
ドドドドドドドドドドドドド
!
なっ!?
し、しんじられない
そして
動き出したヒーローたちは、ゼータさんのかざした手の方向に
いっせいに向きをかける
・・・あれ?
これ、ついさっき、ボクチンが夢の中で見た風景と似てない?
・・・ああ、あの夢は予知夢だったのか なるほどなるほど
と、いうことは・・・・
フィギュアたちは、向きを変え終わった瞬間
いっせいに飛びかかった
獲物に向かって押し寄せるゾンビのように
ちょっ!
なんっで!?
おれにいいいいいいいいいいいいいっっっ!!?
つづく