【説明】

永禄三(1560)年の京。牢人中の明智光秀は、若き兵法者の新九郎、辻博打を行う破戒僧・愚息と運命の出会いを果たす。光秀は幕臣となった後も二人と交流を続ける。やがて織田信長に仕えた光秀は、初陣で長光寺城攻めを命じられた。敵の戦略に焦る中、愚息が得意とした「四つの椀」の博打を思い出すがー。何故、人は必死に生きながらも、滅びゆく者と生き延びる者に分れるのか。革命的歴史小説。

 

 

【読後感】

5★★★★★、記念すべき10冊目!

 

不器用だからこそ、周囲に愛される素地を持つ。本来自分が社会の中で羽ばたける翼を頂くのは、ようやく掴み取った今の地位ではなく、そこに至るまでに素養を育んでくれた愚息と新九郎であると気付く場面、我が身に置き換えることができる下りだ。自分自身にも益があり、そして自分をしっかりと高く評価してくれる方々が、本当に人生の中で必要としている、そして永く交流ができ、本来の意味での益をもたらしてくれる人材ではないか。そう思わせてくれる一冊であった。あらためて人との出会いを大切にしたいと思う。