【説明】

香港の裏通りで、小さなカメラ屋を営む城戸護。かつては陸上自衛隊の空挺部隊に所属し、レンジャーの称号を得た選りすぐりの兵士だった。平穏な生活を送る城戸のもとに、ボディーガードの依頼が舞い込んだ。上海の商社マン・王作民と秘書の護衛として福岡空港に降り立つも、到着ロビーで王を監視する刑事の存在を察知する。想定外の事態を不審に思いはじめた矢先、今度は秘書が王を射殺し、自死してしまう。何が起きているのか?自分は嵌められたのか?殺人の濡れ衣を着せられる窮地に兵士魂を呼び起こされた城戸は、警察が超法規的に構築した監視システムによる追跡をかわし、事件の真相に迫る。

 

 

【読後感】

日経夕刊四つ星に対して、期待した程の出来映えではないが、常時緊迫感を持たせながらストーリーが展開されていく

 

結局背後に控える中国との関係性や島で自衛隊が「戦死」したことなど、やや不明瞭な状況のまま終幕する。主人公の城戸は生き延び、狙われた警察庁高官は一命を取り留めながら、犯人は依然として城戸を監視対象としながら、余韻を残すエンディング。国・政府の犠牲になるというありがちな背後関係は、やや迫力に欠ける感が拭えない。色恋沙汰を絡めなかったのはせめてもの救いか。