【説明】

干上がった湖の底で発見された白骨。頭蓋骨には穴が空き、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。エーレンデュル捜査官たちは、丹念な捜査の末、ひとつの失踪事件に行き当たった。三十年前、一人の農業機械のセールスマンが、婚約者を残し消息を絶っていたのだ。男は偽名を使っており、アイスランドに彼の記録は一切なかった。男は何者で、なぜ消されたのか?過去にさかのぼる捜査が浮かび上がらせたのは、時代に翻弄された人々の哀しい真実だった。北欧ミステリの巨人渾身の大作。

 

【読後感】 3★★★

エーレンデュル捜査官シリーズ第四作。東西冷戦時代の東ドイツでの共産主義下における相互監視が招いた悲劇に端を発した殺人が、30年後に遺体発見で事件化。恋人ハンガリーの学生イローナを殺されたトーマスが、同じアイスランド人のエミールを激昂して殺し、協力者のロマールが湖に沈めた。ロマールは二重スパイで獄死し、トーマスは自殺して終話。