大好きな住野よるさんの最新作。発売日に買っちゃった。

 

「30手前で婚約をした女性が、自分のことをおそらく好きだと確信している仲の良い男友達に、自分へ告白をするよう仕向けて、かつそれをふることで、今後も友情を保っていこうという作戦を実行する」という小説。このとんでもないストーリーを読みたくて、発売前からソワソワしていました。手にした時の喜びといったら。

 

友人にこの本の話をしたら、湊かなえさんみたいな感じの小説?と言われましたが、ラブコメです。基本軽いです。でも、ときどき重い。

 

物語のカギとなるのが、a flood of circle(通称、フラッド)という実在するバンドの「Honey Moon Song」というこれまた実在する曲。この小説を読んだ後、この曲を改めて聴くと、読む前と違った捉え方ができるようになります。ラーメンスープの味変みたいなイメージです。

 

アラサーという一応、社会人だけど、まだ完全には大人になりきれていない登場人物たちの心境や葛藤や感情がなんとも言えず癖になります。正解も間違いもないという絶対的な判断基準のない中でも、自分なりに考え抜いた友人の幸せの方向へと迷いながら歩みを進めていく(あるいは立ち止まる)彼ら彼女らを見ると、胸と目頭が熱くなりました。

 

未来に憧れる学生から、それなりに辛酸を嘗めてきた大人まで、人の心の機微に関心を持つあらゆる人におススメしたい作品です。