ジョン・スタインベック著、大久保康雄訳。グーテンベルク21。

 

大恐慌時代のアメリカ。銀行や大地主に住んでいた地を追い立てられた農民一家は、豊かな大地と仕事のつてを探しに、僅かな家財道具一式を詰め込んんだトラックで、カリフォルニアへと旅立つ物語。

 

銀行や少数の大地主といった冷血で機械的に金を巻き上げるシステムと、それに搾取され迫害される無数の小作人たち。その構図は、現代の資本主義社会でも通ずるものがあります。富める者はますます富み、持たざる者の数はどんどん多くなっていく・・・。やはり、優れた古典は時代を超えた普遍的なメッセージを持っています。

 

本書の特徴として、全30章のうち奇数章は一般的な時代背景・環境の説明、偶数章は主人公一家の物語パートと相異なる文章が交互に織りなされている点です。お互いがそれぞれ他方を補完することによって、物語を深いレベルで掘り下げてくれています。非常に面白い構成です。

 

貧しく苦しんでいる中にだからこそ、他人を思い遣り、共に助け合っていこうとする主人公たちのやり取りに人間愛と尊厳の素晴らしさを感じ取ることのできる、非常に優れた作品です。大長編ですが、読む価値は十二分にあります!