チャールズ・ディケンズの中編クリスマス物語。池 央耿訳。光文社古典新訳文庫。


飛び抜けて守銭奴なスクルージは、とあるクリスマスイブの夜に、元共同経営者マーリーの亡霊に会い、その後3人(?)の精霊と出会うことで不思議な経験をしていくというストーリー。


訳の素晴らしさも大いにあると思いますが、それを差し引いても軽妙で楽しい語りが19世紀の古典文学とは思えなく、読んでいて疲れを全く感じませんでした。また、その文章の中には、キリスト教的な極めて謙虚で思い遣り溢れる優しさ・心の美しさが醸し出されています。


ストーリーは、古典という事もあり、あっと驚くどんでん返しや、叙述トリックをはじめとした搦め手も無い正統派のまさに王道ですが、だからこそのシンプルな良さに溢れています。


人に優しくできなくなっている自分に気付いたときに、読み返したいと思わせる作品でした!