減価償却費の計算
この記事には改訂版がございます。改訂版は減価償却費の計算方法をご覧下さい。
減価償却費の計算についてお伝えします。
残存価額
減価償却とは…の例では、使い終わった後の価値は0円だと仮定しました。
しかし、簿記検定試験では使い終わった後の価値が設定されていることが多いです。
この使い終わった後の価値のことを残存価額と言います。
簿記検定では残存価額は取得価額の10%と設定されることがほとんどです。
なぜ10%なのかという点について簿記の理論的な裏付けはありません。
税法でそう決まっている(決まっていた)からです。
残存価額がある場合は、その固定資産を使い終わったときに残存価額が残るように減価償却しなければなりません。
そのためには取得価額から残存価額を引いた金額を耐用年数で割るようにします。
計算式としては、
(取得原価-残存価額)÷耐用年数=年間の減価償却費
となります。
ここは式を暗記しようとするのではなく、
- 取得原価-残存価額=耐用年数内に償却しなければならない額(要償却額)
- 要償却額÷耐用年数=年間の減価償却費
といった形で、式の意味をきちんと理解しておくことが重要です。
ちなみに、残存価額が取得原価の10%の場合、「取得原価-残存価額」=「取得原価-(取得原価×10%)」=「取得原価×90%」となるので、
取得原価×90%÷耐用年数=年間の減価償却費
となります。
残存価額が取得原価の10%の場合はこちらの方が計算が楽です。
こちらのやり方も身につけておきましょう。
残存価額がある場合の減価償却のイメージ
- 取得原価:10万円
- 残存価額:1万円
- 耐用年数:3年
この例をイメージで表すとこのようになります。
試験中にこのような図を描くと時間がかかります。
そこで、
このように数直線で考えることをオススメします。
これだけでも1年間の減価償却費が3万円だとイメージできます。
期中に購入した場合の減価償却
これまでの例は1年間ずっと固定資産を使用している前提でした。
しかし、実際には会計期間の途中で固定資産を取得することもあります。
その場合、減価償却はどのように行うのでしょうか。
減価償却費は通常は月割りで計算します(もちろん問題文の指示が月割りでない場合は問題文の指示が優先です)。
この場合の減価償却費は、
年間の減価償却費÷12×使用した月数
で求めることができます。
ちなみに1ヶ月未満の月がある場合は1月に切り上げて計算します。
- 年間の減価償却費÷12=1ヶ月間の減価償却費
- 1ヶ月間の減価償却費×使用した月数=使用した月数に対応した減価償却費
といった形で考えます。
式を暗記しようとするのではなく、式の意味をきちんと理解して自力でこの式を立てられるようにするという意識を持つことが重要です。