「○○銀行の口座を持ってたら、書類に記入するだけでほとんど審査も無く”限度額10万円”まで借りられるんだよ。利子も高くないよ」
 「俺?もちろん借りてるよ。当たり前じゃん」
 「大学卒業しちゃえばそのまま踏み倒せるらしいしね」
と、Aと私の共通の友人であるBから聞いた事があった。
”踏み倒せる”というのは恐らく間違いで、
それが勿論悪い事であり、以ての外である事は言うまでもない。
だが、返済せずに卒業し、引越して行った学生が多かったというのは事実のようであった。

当時その話を聞いて「え、マジで?あわよくば俺も。。。」
と思ったりした私も同類だが、酷い学生の多かった事多かった事。
今更ながら、「大学とは何だったのか?」と思う事しきりである。


ちなみにBは、
免許を取ってから間もなく、車を買ってはしゃいでいたはいいが、
その2日後にカマを掘ってしまい、車は廃車。保険は未加入。
ほんの数日間で100万円近くを失い途方に暮れていた哀れな男の子だ。

しかも、その数ヶ月後には留年が決定。
まさに不幸を絵に描いたような男の子でもあった。
この頃のBは、恐らく人生で一番優しくされたのではなかろうか。
 

 さて、いつものようにカエル君にカツアゲされた私はその足で銀行へと向かっていた。
勿論、銀行口座に学生ローンの機能を付けてもらうためである。
必要書類は準備万端。

準備万端とはいっても、必要なのは”実家の連絡先”、”通帳&印鑑”、”学生証”くらいのもので、意識的に準備した物は”通帳と印鑑のみ”。
銀行での手続きもほんの10分程度だったと思う。
ある意味レンタルの会員証を作るような感じであった。
「お金を借りるって簡単♪」
と思ったかどうか定かではないが、
”お金の重み”と”責任”を知らずして学生生活を送っていった事は確かである。
重ね重ねゴメンなさい。

何はともあれ手続きは無事に終える事が出来、キャッシングの方も結構すぐに出来るようになった。
正直、通帳に”-(マイナス)”が記載されるというのは心境的に嫌なものであったが、これが無いと来月分の家賃が払えない。
それに電気代やガス代、生活費さえままならないのである。
これ以上書くと、今更ながら惨めになってくるので割愛するが、それくらいカエル君は私の全てを奪っていったという事だ。
「あのカエルの野郎。。。」
来月分の家賃を振り込み、口座に記載された”-(マイナス)”を眺めながら”憎き緑のカエル君”を思い浮かべていた。あの微妙なアホ面が実に苛っとする。

それと同時に何とも言えない感情が湧き上がってくる。”怒り”にも似ているが悪くない感じ。
「カエルの野郎にリベンジしてやる」
そう思うや否や、私は駅前に向かっていた。
銀行口座に残った数字は”-100000”
根っからの大馬鹿野郎は、来月の光熱費&生活費を全て握り締めてカエル君のもとに向かったのである。
「かける言葉が無いとはこの事だ」
と当時の私に投げかけてやりたい。


 そういえば海物語が全盛の頃、あまり廻らないのに景気良くお金を突っ込むお客さんをよく見かけたのだが、
「何故そんなにも?」
「よくお金が続くよなぁ」と不思議に思っていた。
そして、こう思っていた。
「こういうのがパチンコ依存症っていうんだろうなぁ」

今書きながらに思うのは”私には何も言う権利は無い”という事。