小さい子供のころのことは、ほとんど忘れましたが、今でもよく覚えていることがいくつかあります。

これはまだ幼稚園に行っていたころの話です。
そのころ、親が漁業関係の会社に勤めていたため、海の近くの社宅に住んでいました。
近所に住んでいる少し年上の子供と遊ぶことがありました。

ある日、その子供がどこかからかリヤカーを引っ張ってきて、乗せてやると言いました。
楽しそうなのでのせてもらったら、その子は岸壁の方に引っ張っていき、海のぎりぎりのところまで行きました。
そして、前後に動かしながら、海に落ちるぎりぎりのところを行ったり来たりしました。


ぼくはどうすることもできず、そのままリヤカーに乗っていましたが、とても怖くてほとんど泣いていました。

しばらくしてから、海から離れたところに引っ張っていかれ、降りることができました。

急いで家に帰ったら、たまたま母がお汁粉を作ってくれていました。


もう味は忘れてしまいましたが、とてもうれしかったことだけは覚えています。